第8話 祈りを込めて

「ねえ。拓人」


「ん?どうした」


在津にボコボコされてから。

俺はそのままやり返し勉強をしていた。

するとそんな感じで花鈴に話し掛けられる。

俺は?を浮かべて花鈴を見る。

花鈴は俺を見ながら、教室出てから話せるかしら、と言ってくる。


「?.....ああ。まあ話せるが。.....行くか?」


「そうね。.....お願い」


それから俺達は教室を後にしてから。

そのまま廊下に出た。

そして花鈴が俺に向いてくる。

今日.....家に来てくれないかしら、と言ってくる。


「.....家ってお前の.....?.....またどうしてなんだ?」


「そうね.....家の紹介だけと思って。.....それに.....」


「それに?」


「.....」


良いたげな感じでだが黙ってしまう。

俺はその姿を見ながら?をまた浮かべてしまった。

すると花鈴は、御免なさい。やっぱり今日じゃなくて良いわ、と断る。

俺は言葉に、良いのか、と言うと。

花鈴は、ええ、と返事をした。


「.....貴方も忙しいだろうしね」


「.....」


「.....だから今度お誘いするわ。.....宜しく」


「.....分かった。じゃあ今回はパスな」


それから俺達は教室にもど.....ろうとした時。

廊下の奥から、先輩、と声がした。

みうだ。

俺は、どうした?、と聞いてみる。

するとみうは、先輩。今日は一緒に帰れますか。部活動が無くって、と話してくる。

その言葉に俺は花鈴を見た。


「あれ?花鈴先輩じゃないですか」


「.....こんにちは。みうさん」


「.....また良い感じになっていたんですか?ぶー」


「良い感じ.....ではないがな。.....まあそれなりには」


「ぶー。先輩の浮気者」


それから俺を見てくるみう。

俺はその姿に苦笑いで助けを求める様に花鈴を見る。

花鈴は俺達の姿を見てから。

みうを見てから、今回は貴方に譲るわ。みうさん、と言葉を発した。


「え?.....それって.....」


「私がこの前、彼を渡してもらった。今回は彼を貴方に譲るわ。.....ちょうど私、今日用事があるから」


「.....花鈴先輩.....」


みうはその雰囲気に少しだけ顎に手を添える。

そして、花鈴先輩。今度女子会しませんか、と言ってくる。

俺は!?と思いながらみうを見る。

花鈴は、何でいきなりそうなるのかしら、と目をパチクリする。

小さな噂ですが、と切り出すみう。


「.....貴方も相当に苦労していると聞きます。.....その事も話したいですし.....えっと。.....なんて言うかー.....乙女の話もしたいです」


「.....別に構わないわ。.....でもやましい事はないのよね?」


「無いですよ。.....私はそのパターンは嫌いなので」


「.....?」


みうは深刻そうな冷めた顔を見せた。

一瞬だが、だ。

何だ今の冷徹な真顔は。

思いながらも直ぐにニコッとしたみうに何も反応出来なかった。

花鈴は、良いわ、と言う。


「.....貴方の事も知りたいと思っていたし」


「.....そうですね。女子会決定ですね」


「.....まあ仲良くしてくれよ?頼むから」


「大丈夫ですよ。先輩」


そして今度の日曜日に女子会が決まった。

俺はその姿を見ながら居ると。

じゃあ俺達も男子会しようぜ、と在津が言ってくる。

キモいんだよコイツ。

何言ってんだ。


「.....おい在津。俺らが集まってもゴミにしかならない。不燃ごみにしかな」


「お前.....良い加減に殺すぞ?何言ってんだ。俺はイケメンだろ」


「イケメン?お前の様なスカした野郎がか?笑いもんだなクソが」


「テメェ.....」


俺達はジト目で見合いながら居ると。

みうが、先輩方。ろくじゃない事で揉めてどうするんですか、と言ってくる。

俺は、コイツが悪い、と指差す。

在津も同じタイミングで。

すると花鈴が、あら?今のはどっちもどっちだわ、と切り出してくる。


「オイオイお前な」


「そりゃないぜ花鈴さん」


しかしまあそれは良いとして。

取り敢えず女子会か。

コイツらは仲良くやれるんだろうか。

俺は考えながらメールを打つ。

その相手は.....俺の妹だ。


「何を打っているのかしら」


「.....お前らが万が一喧嘩した時に備えて保険を立て替えておく」


「.....もしかしてめぐみさん?」


「そうだな。アイツだったら良いだろ。お前ら女子に対して」


「まあそうね.....というかそんなに信頼出来ないのかしら。全く」


「そうだな。お前らの事だしな」


そして俺はめぐみにメッセージを打ってから。

そのまま見ていると。

キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。


慌て始めるみう。

それから、また後で!先輩!、と去って行った。

慌ただしい野郎だな。


「しかし羨ましいもんだな。お前」


「.....何がだよ」


「こうやって美少女に愛されているのが」


「.....」


「.....俺の場合は遠いからな」


在津には幼馴染が居たらしい。

中3の時に生き別れたそうだが。

俺と同じだな、と思う。

年齢も一緒だ。

二度と会う事は無いだろうと肩を竦める。


「お前らを見ていると幸せが湧くよ」


「.....在津.....」


「無駄にすんなよ。その心」


「.....ああ」


在津がいつか幼馴染にまた会える様に祈っているつもりだが。

その確率は1億分の1だろう。

それに相手は彼氏が出来ている可能性もある。


俺だってそうだ。

花鈴に彼氏が居なかったから良かったのだが.....。

まあ俺の場合は恋とは違うけど.....だ。

それでも祈りたい。

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