第4話 幸せの刻

在津からドリンクチケットを貰ったのだが。

それは良いとして俺は白雪姫こと花鈴と一緒に歩いているとみうに遭遇し。

そしてみうは宣戦布告な事を言い放った。


まあそんなもの花鈴は気にしないだろうと思っていたのだが。

それなりの顔をしていた。

何でだ?

まるで.....、と思ったが。

まあそれはあり得ないなと首を振る。


「それで。何処まで行くのかしら」


「この近所だな。.....あるだろ?このクソ田舎で1件だけファーストフード店のエックが.....」


「.....エクドナルドかしら」


「そうだな。.....まあそういう事だからせっかくだしシェイクとか飲むか」


「.....それは何だったかしら」


それは何だったかしら、と言われましても。

シェイクはシェイクだ。

というかシェイクを知らないのか、と思いながら花鈴を見る。

花鈴は顎に手を添えて小首を傾げる。

俺は、まあその。混ぜ合わせたヤツだな。ジュースとかな、と答える。


「初めて聞いたわ。でも分かりやすく説明してくれて有難う。.....じゃあそれにするわ」


そしてエクドナルドに入りながら店員さんに向く。

何か食うか、と聞くが。

よく分からない、と話す白雪姫に俺は、分かった、と返事をした。


それから適当にアップルパイとか買ってからそのまま歩く。

学生ばっかり。

当然.....男子達の視線が痛いのだが。

何でそんなモブが美人を、的な感じで。

全く男ってのは。


「花鈴」


「.....何かしら」


「.....痛くないか?視線とか」


「大丈夫よ。.....慣れっこだから」


俺は?を浮かべながら花鈴を見る。

花鈴は難しい顔をしていた。

そして席に腰掛ける俺達。

俺は熱々のアップルパイを渡す。

食べるか、と。


「貴方が食べるなら」


「.....何で毎回俺.....基準?」


「私には分からないから」


「.....?」


分からないとは何が分からないのか。

この2年で何が起こっているのか。

それを聞きたい為に喉の奥から言葉が出てこようとしたが飲み込む。

ギリギリだったな、と思いながらホッとする。

そして小さな口がアップルパイを食べる。


「....,リスだな。お前さんは」


「何かしら。本当に熱いのだけれど」


「.....冗談だ。.....あ」


「.....何?」


「.....」


青ざめる俺。

マズイ事が浮かんだ。

何かといえばこれって間接キスじゃね?


俺は真っ赤になっていく。

すると相手は何か察した様にハッとして。

そして.....何と赤くなった。


「.....ちょっと。何をいやらしい事を考えているのかしら」


「.....すまん。いやらしくはない」


「.....恥ずかしいのだけれど。.....考えない様にしていたのに」


「.....すまない.....」


初々しいバカップルだなこれ。

俺は考えながらアップルパイを後ろから食った。

流石に恥ずかしいので、だ。

煩悩しか浮かばない。

困ってしまう。


「.....あのさ」


「何かしら」


「聞いても良いか。何でお前さんは昔はあんなに友達がいっぱいなのに人と仲良くするのをやめたんだ?」


「.....私が.....全部に嫌になったから。.....ただそれだけ」


「.....ああ。成程な。.....まあそれなら問題はない」


目をパチクリする花鈴。

俺は唇を親指で拭ってから、お前さんが何というかそう言うなら仕方が無いだろう、と答える。

すると花鈴は赤くなって俯いた。

そういうトコロが、と声がした気がしたが。


「?.....何か言ったか?聞こえないんだが」


「.....何でも無いわよ。.....貴方こそそんなにしっかりと聞き耳を立てないでくれるかしら」


「.....理不尽だなオイ」


「そんな事より貴方に聞きたいわ。.....貴方は何故.....今のあの学校に行っているのかしら」


「.....」


説明がし辛いな。

俺は考えながらアップルパイの入っていたケースをついグシャッと潰してしまった。

そして花鈴を見る。

すまない。今は言えない、と話す。

それから、説明に気が乗らないんだ、とも。


「ごめんなさい。気を悪くしたらな謝る.....」


「.....そうじゃないよ。悪くしたんじゃ無いけど。.....花鈴。有難うな。配慮してくれて」


「.....うん.....」


花鈴は俺を見てからシェイクを見る。

そして、この飲み物.....美味しいわね、と回答する。

俺は、ああ。まあな。エグドナルドのシェイクって美味しいよな、と答える。

すると花鈴が俺の口元に目を丸くして一点を見つめる様にした。


「.....貴方。口にリンゴのソースが付いているわ」


「.....あ?.....ああ。すま.....」


「.....ふ.....ふふ」


「.....か、花鈴.....?」


花鈴が俺を見てから口元に手を添えてクスクス笑う。

お上品な感じで.....だが。

でも笑った姿なんか本当に久々に見た。

俺はドキッとしながらその姿を見る。


「.....あ、ごめんなさい」


「.....笑えるんだな」


「.....え?」


「お前自身からマジに笑いが無くなったかと思った。.....でもそうじゃ無いんだな」


「拓人.....」


「.....安心したよ。.....まだ昔の性格は仮にも生きているんだな」


花鈴は恥ずかしそうに赤くなる。

ボッと火が点いた様に。

俺はその姿を苦笑して見ていた。

やれやれ.....在津には何か奢らないとな。

今度.....お礼に、だ。

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