第3話 みうと花鈴の出会い

教室で拓人もしくは花鈴と呼ぶ事に抵抗を感じたが。

それどころじゃないぐらいに教室の波という波は荒れていた。

俺に対する妬みとかで雰囲気のボルテージがマックスになっている。

良い加減にしろよお前ら、と思うのだが。

在津は苦笑い。


「ははは。まあこういう奴らだしな。コイツら」


「お前も妬んでいるんじゃないのか?在津」


「今回の件で諦めた俺は。悟りを開いた」


「いや。それならそれで良いんだが」


そんな会話をしながら俺達は目の前の教室の端にある小さな本棚を見ている花鈴を見てみる。

相変わらず花鈴は女子にも男子にも見事な冷たい態度であった。

俺はその姿に溜息を吐く。

それから俺は在津を見てみる。

在津は、何であんなに冷たいんだろうな、と首を傾げている。


「.....まあ.....昔は違ったんだがな」


「.....そうなのか?明るい性格だったのか?」


「そうだな。かなり明るい性格だった。何が彼女をそうさせたのかは知ら.....あれ?」


「.....オイ。何故.....彼女の幼い頃を知っている」


「.....」


誘導尋問に引っ掛かってしまった。

俺は慌てながらも。

でもコイツだから良いか、と話した。

すると在津は、成程な、と納得してから苦笑する。

そして、大変だなお前も、と言ってくる。


「学校といいマジに大変だな」


「.....それは言わない約束だろ」


「.....まあそうだな。すまん」


「だから俺は過去からアイツの事を仮にも心配しているんだ」


「成程な。.....何だかお前もマジに大変だな」


そうだな、と返事しながら苦笑いの俺。

それから在津を見る。

在津は、よし。授業始まるな、と立ち上がる。

そして俺の肩に手を添えてくる。


「まあガンバだな。応援しているぞ」


「.....そう言ってくれて有難いっちゃ有難いけどな。なんか複雑だわ」


「だってそうとしか言いようが無いぞ。.....ああそうだ」


そして在津は何かを取り出す。

シワクチャのポケットからシワクチャの紙を。

何だこりゃ、と思いながら汚らしく受け取ってみる。

ドリンク無料。

2枚分。


「.....オイ在津。何だこれ」


「放課後にアイツを誘ってみたらどうだ。.....それこそ白雪姫をな」


「.....いや在津.....無理があんだろ。.....お前な」


「良いから。成功するかもしれねぇだろ」


「無茶苦茶だな」


そして俺はそのチケットをゴリ押しで受け取る。

それから盛大に溜息を吐いてから後ろの席に戻って来た花鈴をチラ見する。

花鈴は全く無視で本に集中していた。

俺はそんな花鈴に話し掛けてみる。


「花鈴」


「.....何かしら」


「.....これ。放課後に行かないか。飲み物買いにファーストフード店に」


「?.....貴方と2人で?」


「まあそうなるな」


「.....じゃあ行くわ」


何で俺と2人きりになると行くんだよ。

俺は?を浮かべながら在津を見る。

在津は(//∇//)という顔をしている.....。


この野郎という奴は。

無料ドリンクチケット貰ったがぶっ飛ばしたくなった。

誤解だぞお前は。



「何処まで行くのかしら」


「ああ。それは.....」


そんな会話をしていると。

校門の所に誰か立っていて.....此方を見ていた。

それは.....みうだ。


俺は!?と青ざめる。

何故みうが居るのだ.....!?

先に帰ってくれ、と言ったのに!?


「みう。何故.....」


「.....先輩。その女性ですか。例の女性は」


「.....ま、まあそうだな.....」


「先に帰ってくれとは言われました。.....でも気になったから」


「.....勘弁してくれ.....」


みうはジト目で此方を見てくる。

そして、初めまして、と顔を引き攣らせる。

それから握手を求める様にみうは手を差し出した。

だがその前にかなり威嚇する様な目になる花鈴。

そうしてから、貴方はみうさんね。噂はかねがね、と話す。


「.....そうですね。.....噂があるんですねぇ」


「貴方のオーラは何だか苦手な色をしているわ」


「そうですか?私も何だか花鈴先輩は苦手です」


「そう。私も貴方から猛烈な邪魔という邪気を感じるわ」


「それって失礼じゃ無いですか?」


お前ら喧嘩するな。

俺は思いながら慌てる。

だが2人は睨んだままそのまま離れない。


そのうち睨み合っていたみうが諦めた様に言葉を発した。

今日は譲りますけど。

でも明日以降は覚悟して下さい、と。


「私が最も先輩と仲が良いんですから」


「.....」


無言のまま睨む花鈴。

そしてそのまま去って行く.....みう。

俺は、じゃあ一先ずは.....行くか、とぎこちない感じで切り出す様にする。

すると花鈴が俺の袖をちょこんと掴んだ。

そして見上げてくる。


「.....ねえ.....」


「.....な、何だ?」


「.....何でもない」


そしてそのまま花鈴は何か言いたげだったが。

行きましょう、と切り出してから歩き出しはじめた。

俺はその背後を見ながら?を浮かべていたが。

離れ始めたので慌てて付いて行く。

何だろうか、と思うが。

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