第125話 采苓(あまくさ採ったぞ)

あまくさ採ったぞ どちらで採った

シュヨウのおやまの あちらがわ

ひとの ことばを うのみにするな

しんと しんじて あてにすな

むしだ シカトだ しんじちゃならぬ

ただしい 臣下しんかは シュヨウザン

ひめの ことばを うのみにするな

それは でたらめ うそっぱち


のげし採ったぞ どちらで採った

シュヨウのおやまの のぼりざか

ひとの ことばを うのみにするな

しんと しんじて のりだすな

むしだ シカトだ しんじちゃならぬ

ただしい 臣下しんかは シュヨウザン

諸侯の ことばを うのみにするな

それは でたらめ うそっぱち


かぶら採ったぞ どちらで採った

シュヨウのおやまの ひがしがわ

ひとの ことばを うのみにするな

しんと しんじて みみかすな

むしだ シカトだ しんじちゃならぬ

ただしい 臣下しんかは シュヨウザン

ひとの ことばを うのみにするな

それは でたらめ うそっぱち


【もとの詩】

采苓采苓、首陽之巔。

人之為言、苟亦無信。

舍旃舍旃、苟亦無然。

人之為言、胡得焉。


采苦采苦、首陽之下。

人之為言、苟亦無與。

舍旃舍旃、苟亦無然。

人之為言、胡得焉。


采葑采葑、首陽之東。

人之為言、苟亦無從。

舍旃舍旃、苟亦無然。

人之為言、胡得焉。


【ひとこと】

草を采る系ならこれまでもたくさんあったと思って軽く見返したら……例えば「采采芣苢」のように采られるのが二文字だった。

二文字のときは「采采◯◯」一文字の時は「采◯采◯」なのかな……気になる。


さて首陽山なのだから伯夷はくい叔斉しゅくせいの逸話は無視できまい。ましてや「采薇歌」なんてものがあるのだから、と思ってこちらは「采其薇矣」だった。うーん分からん。


ところでさ、これさ、ヤバくない?何コレ、完成度たっか!!!好き。うう、やばい、美しい。前半四句のうち三句目は韻を踏み落とすのねって思ったら後半四句でそれ使うの?うっ、好きだ。


一句目と五句目、二文字繰り返しで

三句目と七句目、同じフレーズで

四句目と六句目 苟亦無◎の繰り返し


こういう繰り返し構造大好きなんですよ!!加えて一句目と二句目!

采◎采◎と首陽之◎はパロディだよっていう提示でしょう?


八句目、そこは矣を含む四文字じゃないの!?って思ったんだけど、その辺の感覚はよくわからない。竹取物語の作者みたいなシュール系ギャグが好きなのかもしれない(不死の山かと思った?ざんねん士が富む山でした!)


うわぁぁぁすっごい好きの歌だった。いいもの読んだ!ありがとう!


(かぶらの連の韻ってか言葉合わせが気になっていることを書いておく)

かしらにて←頂きを「かしら」というらしいね。一句目「巔」からの発想。でも少なくとも私には耳慣れないし最後aで終わりたいんだよね……

わ←「か」と「が」違うけど2回出せるしもとの詩も「東」だし…

かわ←k a_ _ _ a。いや水辺出すのは違くない?育っちゃうじゃん

わのなか←まぁそれなら育たないよね。

けのした←二句目「下」からの発想ね、「か」と「が」違うけど句頭ね。


みみ←k a_ u _ a。うん、でも句頭じゃないよね?これ1番2番あっての3番なんだけど?

みるな←却下。

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