第124話 葛生(まくずしげって いばらをおおう)

まくずしげって いばらをおおう

ごようかづらは のづらにつたう

わがよきひとは ここになく

たよりたくても よるべなし


まくずしげって なつめをおおう

ごようかづらは おはかにつたう

わがよきひとは ここになく

ひといきついて ひとりきり


つののまくらの うつくしさ

こんれいぶとんの あざやかさ

わがよきひとは ここになく

だれをおもって あさをまつ


なつのひるまに ふゆのよる

ももとせたったら とこよにゆくわ


ふゆのゆうべに なつのひる

おなじおはかで ならんでねましょ


【もとの詩】

葛生蒙楚、蘞蔓于野。

予美亡此、誰與獨處。


葛生蒙棘、蘞蔓于域。

予美亡此、誰與獨息。


角枕粲兮、錦衾爛兮。

予美亡此、誰與獨旦。


夏之日、冬之夜、百歲之後、歸於其居。


冬之夜、夏之日、百歲之後、歸於其室。


【ひとこと】

急にしんみりきましたね。ここしばらくはどこか第三者として歌う感じじゃなかった?これは当事者として歌うみたいな作り方してない?気のせい?分からないけどそんな気がしたのでそんなふうに作ってきました。


「角枕粲兮、錦衾爛兮」ここが分からない!分からないんだったら素直に訳せというところだが、分からないんだからいいかなって婚礼布団にした次第。これが何なのか分かったらあとから「嘘ついてましたごめんなさい」になるかもだけど、今のところ嘘はついてないから、まぁいいかなってことにした。気をつけてね!


言い訳しておくと「ここにはひとり、やすんでもひとり、あけてもひとり」みたいなこと言ってるから、つい、そういうアイテムなんだろうなって……。(いやこの書き方でもアクロバットだなぁ……)


はぁ……なんていうか、まさにこの現実を生きた人がいるのだという感覚から遠い。むしろどこか物語フィクションのように読んでしまう。まぁだからこそ体調に響かず読み進められるというものではある。問題点でもあるが大変に素晴らしい点でもある。近代詩、現代詩はさ、とてもじゃないがサクサク読めないんですよね。腕をつっぱって飲み込まれないように注意して薄目で読む、みたいな。その点さ、これは安心して読めていい。この辺の感覚は人それぞれなんだろうなと思ったりした。人によっては私がひどく薄情でとんでもない人間に見えるだろうなとは思うけど、それでもそうとしか生きられないのだから仕方がない。


これは距離があるから好きな詩ですね。

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