前のエピソード――第96話　雞鳴（ないたないた）

きみはすごい　するどく　すばやい

おれときみは　ドウザンで　であい

きみとふたり　ならび　けものがり

ユウをして　たたえあった　たがい

きみはほんとに　すばらしい

きみとであった　ドウのみち

ならんでおった　おすのイノシシ

たたえあおう　おれらカッコイイ

きみとふたり　ドウザンのみなみ

きみとのかり　にとうのオオカミ

つかまえたぜ　りっぱな　けなみ

おれらのてなみ　ほんとうにカミ

【もとの詩】

子之還兮

遭我乎峱之閒兮

竝驅從兩肩兮

揖我謂我儇兮

子之茂兮

遭我乎峱之道兮

竝驅從兩牡兮

揖我謂我好兮

子之昌兮

遭我乎峱之陽兮

竝驅從兩狼兮

揖我謂我臧兮

【ひとこと】

ユウをして……揖（ゆう）をして。挨拶のことらしい。グーをパーで握るアレのことなのか違うのかはよく分からず。「腕組んで」「肩組んで」みたいにアクロバット変換してもよかったがひとまず。

四句同じ韻×3かぁと思って句末の押韻をやってみたんだけど、うーん……。できないわけじゃないけど、うーん……。

なんていうか自分の欲しいものができない。

以下、ひとり反省会の会場とします。将来の自分のためのメモなので、私以外は読み飛ばしてください。

（ひとり反省会場）

語彙が足りない？　センスが足りない？　知識か経験か時間か詩情か、何が足りないのか知らないけど何かが決定的に足りてない。

1番（アイ）

素早い→出会い→二人→獣狩り→互い

すばやい→であい→ふたり→けものがり→たがい

やい（⚫︎）→あい（⚫︎）→たり（◯）→が（▲）り（◯）→が（▲）い（⚫︎）

2番（イイ）

すばらしい→みち→イノシシ→カッコイイ

しい→みち→しし→いい

3番（アイ）

二人→南→狩り→オオカミ→毛並み→手並み→神

ふたり→みなみ→かり→おおかみ→けなみ→てなみ→かみ

たり（▲）→な（△）み（⚫︎）→か（◯）り（▲）→か（◯）み（⚫︎）→な（△）み（⚫︎）→な（△）み（⚫︎）→か（◯）み（⚫︎）

※セルフツッコミ　「お手並み拝見」の言い方でしか「手並み」って聞かなくない？ってことが気になる場合は「俺らの手並み」→「俺らの腕前」として「つかまえたぜ」の「まえ」を目立たせるように発音したらいいと思う。（この辺り本当、発声ありき）

２番について！！！！

「すばらしい／みち／イノシシ／カッコイイ」で「イイ」の母音踏んでる（はず）だけど、なんていうかコレジャナイ。

韻踏んでるはずの箇所抜き出しても気持ちよくなれないってのは、つまり、どうかしてる。言葉遊びがキマッてる時はそこだけ抜き出したってサイコーなんだ。ってか作ってる俺が気持ちよくないものを、他の誰がノれるっての？　まぁ、ノれる人はいるんだろうけどさ（先に提示してから否定するの詩経っぽい）、それは俺が欲しいものじゃない。俺は俺が欲しいものを作りたい。

幸田露伴は57577を守っているけど内容がちょっとねっていうのを「圏外の歌」と呼んだらしい（聞き齧りなので間違ってるかも知れない）（何ヶ月ききかじりで放置するんださっさと調べろ自分）。

そんな感じで「圏外の押韻」なんじゃなかろうかこれは。これを圏内にするには発声による目立たせ、曲による底上げ、なにかそういうものが必要なんじゃなかろうか。今回は（今回も）表記をひらがなとし（追った、くらいは漢字にした方がいい気はした）、最終的には傍点に頼った。

押韻とは何か？何が圏外と圏内をわかつのか？二文字だけだというのが理由か？文字数を増やせばいいのか？字数があえばいいのか？いわゆるカタイ韻なら圏内になるのか？

少し整理されてきた。嬉しい。もう少しスッキリするためするためにはもっと作って、考えて、をする必要がある。あるが……この方向で幸せになれる気がしない。

なぁ、未来の自分よ、パンダ（食肉目クマ科に分類される肉食動物なわけだが）にとっては食べ慣れた笹と肉、どちらが幸せなんだろうな。