第69話 中谷有蓷(丘で芽を出すめはじきが)

丘で芽を出すめはじきが

今では谷の中にある

枯れて乾いていたんでる

ここに女がひとりいる

はぁと、はぁと、ため息ついた

なんて難儀な世の中だろう


丘で葉を出すめはじきが

今では谷の中にある

徒長し間伸びしいたんでる

ここに女がひとりいる

ふぅと、ふぅと、ため息ついた

なんて難儀な世の中だろう


丘で花咲くめはじきが

今では谷の中にある

濡れて萎れていたんでる

ここに女がひとりいる

ひっく、ひっくと、さめざめ泣いた

なんでどうして及ばない


【もとの詩】

中谷有蓷、暵其乾矣。

有女仳離、嘅其嘆矣。

嘅其嘆矣、遇人之艱難矣。


中谷有蓷、暵其脩矣。

有女仳離、條其歗矣。

條其歗矣、遇人之不淑矣。


中谷有蓷、暵其濕矣。

有女仳離、啜其泣矣。

啜其泣矣、何嗟及矣。


【ひとこと】

 たいとは「めはじき」のことらしい。日本語でいう「めはじき」は「ヤクモソウ(益母草)」のことらしいんだけど、そこまで言われてもピンと来ないし、また例の如く違う植物なんだろう? わかってきた。だとしても陸に育つんだろうなということで補った。

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