第67話 君子陽陽(かの人の羽扇で舞うや朧月)

笛の音はねやにかなしも春の暮れ


かの人の羽扇うせんで舞うや朧月


【もとの詩】

君子陽陽 左執簧 右招我由房

其樂只且


君子陶陶 左執翿 右招我由敖

其樂只且


【ひとこと】

 つらい……。

 立派で実力の人だったのだろうが敵勢力に目をつけられて命を狙われているらしい。取るに足らない人間であるとアピールしなくてはいつ殺されてもおかしくない状況。

「あんなのほっときましょうや。昼間っから酒に溺れて女とヤッてるような奴ですよ!笛だってたいしたことねぇ。どうせコッチの笛だって下手に決まってらぁ!(下卑た笑い)」みたいな評価を、わざと狙って得ようとしているのだと、閨に招き寄せられた女は知っている。それはただ己一人の保身のためなのか、一族を守るためのものなのか。

 軍配として使われた羽扇にあの頃の輝きはない。それでも捨てられないのだろうそれを、ただ踊りのための小道具として預かって、わたくしめがひとつ舞を踊って見せましょう。世が世なら太陽のような帝のお側で、さやかに照る月のようにお支えしただろうお人へ……。

 みたいな妄想で作ってきました!

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