第61話 河廣(黄河狭いな小さいな)

黄河こうが狭いな小さいな

笹のお舟が入らない


そうは近いな近場だな

河の向こうにもう見える


あし小舟こぶねを浮かばして

行ってきたいな宋のくに


《もとの詩》

①誰謂河廣 一葦杭之

②誰謂宋遠 跂予望之


③誰謂河廣 曾不容刀

④誰謂宋遠 曾不崇朝


《ひとこと》

 生き別れた息子に会いに、宋に行きたいという母の詩であるらしい。元の詩からは「は!?宋なんてすぐそこでしょ!?誰がダメっていたの!?くっそムカつく。行かせなさいよ!!!」という怒りを感じるが、悲哀につくった。

 本には「実際は数百マイルある」とあった。どうせキレるならこっちにキレて欲しい。そこはメートル法!


 もとの詩の「刀」は小舟のことらしい。小刀で削り出したような小さな船ということ?ここではもっと極端に笹のお舟とした(子供の頃遊びませんでした?)。笹の舟と黄河では合わないと思う人は松の小舟こぶねとすると詩経っぽさがでて合うのではと思ったり思わなかったり。

 「葦のお舟」は是非とも一本だけでいいのだということを歌いたかったが、いかんせん力量が足りず……「かわ葦牙あしかび浮かばせて」とすれば少し近いが、「かわに」の歌いにくさにビックリするし、葦牙なら河より海な気がするし(気のせいかもしれない)、何より新しく国を作ってしまいそうだし、うーん……。まぁ人間は一本の葦ですからね、引き続き考えるものとして持ち帰りとしましょう。


 最初は元の詩の一行つき7575で対応させたんですが……うーん、歌ってみると冗長ですよね。という訳で直したのが上の歌。推敲前も置いておく。訳詩としてはこっちの方が素朴でいいと思う。歌としてどっちがいいかは……好みですかね。寝かせる時間がなかったのでもう少し考えたい。


③誰謂河廣 曾不容刀

黄河こうが狭いな小さいな

笹のお舟が入らない


②誰謂宋遠 跂予望之

そうは近いな近場だな

つま先立ちしてもう見える


④誰謂宋遠 曾不崇朝

黄河渡れば宋のくに

朝に家でて昼に着く


①誰謂河廣 一葦杭之

あし小舟こぶねを浮かばして

行ってきたいな宋のくに

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