第43話 新臺(新たな御殿は きんきらら)

※オタマジャクシはカエルの子のリズムで


黄河はゆらゆら 素晴らしく

新たな御殿は きんきらら

さぞや綺麗な おひとだろ

何も言うまい げんげろげ


白魚を漁ろうと 網なげて

掛ってきたのは デカイ鳥

美人べっぴん 器量好し

いぼいぼガエルは お断り


真鯛がとれると 聞いたのに

掛ってきたのは アホウドリ

イケメン美男子びなんし 大丈夫だいじょうふ

せむしおとこは お断り


【元の詩】

新臺有泚 河水瀰瀰

燕婉之求 籧篨不鮮


新臺有洒 河水浼浼

燕婉之求 籧篨不殄


魚網之設 鴻則離之

燕婉之求 得此戚施


【ひとこと】

 「イケメンの若旦那だと聞いてきたのに、ごうつくばりのクソ親父に嫁ぐことになったんだけど!?」の視点で詠まれた政治批判との解説を見た。なるほどと思ったら手元の本は「美女が良かったのに。チェンジ」だった。ならばと両方作ってきた次第。


◯いぼいぼガエル 「戚施」のこと。「戚施」はひきがえるとか、せむしの意味。どう考えても悪口(この文脈ではね! 他は知らない)。なおヒキガエルのことをイボガエルとかイボイボガエルと言ったりする。余談だがツチガエルのことをイボガエルということもあるらしい。詩経、わりと悪口のレパートリーを要求してきますよね……? 邪なし……?

◯せむしわり どストレートの悪口だけどリズムに乗せて歌うならむしろこのくらいの方が茶目っ気があったり……しませんかねぇ? 元の詩に寄せて「蝦蟇やせむしはお断り」とする案もあったが、ちょっと頭でっかちかなと思ったりした。

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