第39話 泉水(ちょろちょろわいた 泉さえ)

ちょろちょろわいた 泉さえ

いつかは帰る の河に

ああ懐かしい えいのくに

かわいいわたしの いもうとに 

相談しましょ そうしましょ


むかしおくにを 出るときは

にお宿して でいで飲む

おんなにうまれて きたからは

およめにゆくのが さだめだと

されどあいたい おばさまに


今度おくにに 行くときは

かんで泊って げんで食う

くるまの調子 万全で

もしも早めに ついたとて

なにも問題 ないでしょう


ああ弟よ あねさまよ

おもいだされる しゅそう

うまれおなじに われ肥泉ひせん

わかれながれて ゆく派川はせん


馬車仕立てこころ枯野をかけめぐ


【元の詩】

毖彼泉水 亦流于淇

有懷于衛 靡日不思

孌彼諸姬 聊與之謀


出宿于泲 飲餞于禰

女子有行 遠父母兄弟

問我諸姑 遂及伯姊


出宿于干 飲餞于言

載脂載牽 還車言邁

遄臻于衛 不瑕有害


我思肥泉 茲之永歎

思須與漕 我心悠悠

駕言出遊 以寫我憂


【ひとこと】

父母が生きているうちは里帰りできるが、死後は帰れないものらしい。

出てくる地名は皆、えいのくにの地名とのこと。

◯肥泉 「出づる所は同じく、帰する所は異なるを、肥泉と為す」らしい。

◯派川 日本語。別れた川の本流出ない方。再度出会わないものをいう。

◯枯野をかけ廻る 松尾芭蕉です。「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」

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