第27話 綠衣(衣のいろが はなだいろ)

はなだいろ はなだいろ

衣のいろが はなだいろ

裏地と袴は あさひいろ

上下の色を いかんせん

こころ憂うも 色なせず

いつになれば おさまるだろう


はなだいろ はなだいろ

絹のいとが はなだいろ

あなたが選ぶは はなだいろ

むかしのひとを おもっては

比ぶ我が身の 情けなさ

麻のひとえ あきかぜ寒し


【元の詩】

綠兮衣兮 綠衣黃裏

心之憂矣 曷維其已


綠兮衣兮 綠衣黃裳

心之憂矣 曷維其亡


綠兮絲兮 女所治兮

我思古人 俾無訧兮


絺兮綌兮 淒其以風

我思古人 實獲我心



【ひとこと】

1番は男、2番は女が詠み手のイメージ。


◯はなだいろ 緑衣といって浮かぶのは「りょくい」。六位の官人が朝服に着用した深い縹色 はなだいろ袍 ほう であり緑色の衣服。ただしこれは本朝の場合で、隋や唐の頃入ってきたものだし、詩経に歌われるそれと違うだろうけど、「みどりだな」や「みどりいろ」で歌うマヌケっぷりがひどく、エイヤで縹色とした次第。ところで縹色って、緑ってか青じゃん……? うーん、まぁ、その辺よくワカラナイ……。

◯はかま 「裳裾もすそじゃないのかい!」っていうね。うん、ごめんなさい。裳裾がいい人は裳裾にしてください、字数一緒だし裳裾でも歌えるはず。裳って言われて十二単のアレが浮かんで頭大混乱したから避けましたごめんなさい。

◯あさひいろ 浅緋色。五位の官人が朝服に着用する色。緑衣より偉い人が着る。(源氏物語にそんな話あったよね。みんな赤っぽいのきてるのに緑衣マジ目立つかわいそ……みたいなさ?)深緋と浅緋を分けた時代と深緋に統一された時代があるらしいのでメモ。元の詩は黄色だろって思うよね、それな。黄衣は緑衣と同じように律令制で無位の人が着用するもので本朝では緑より位が低いんですよね……うん……。詩経の解説によれば黄色の方が尊くて、緑の方が下らしいんですよ。もうね、頭がこんがらがる……黄色がいい人は「あさぎいろ」で歌ってください。そのために「ふかひいろ」でなく「あさひいろ」にしておきました。

◯麻 原詩は葛ですよね。わかってる。でも葛とクズが掛かってしまうの辛すぎるので同じく夏の衣類に使う麻としました。「麻の人へ……夏物である麻のひとえの衣に吹く秋の風が寒々しく、あなたに飽きられて本来なら身分が下であるはずの者たちから冷たくあしらわれる我が身が情けなく思われます」みたいなイメージ。縹色の方、絹なのにな。

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