第26.5話 柏舟のこぼれ話

 柏舟を先に公開してしまったので箸休め回。


 ふつう漢詩で柏といったらコノテガシワ、つまりヒノキの仲間の針葉樹、コニファーであると理解している。少なくとも陶淵明(西暦365年うまれ)の頃はそうらしいし、解説書にもそう書いてあった。(ところで詩経の詩は西周の初期(紀元前11世紀)から東周の初期(紀元前7世紀)らしい(wiki調べ)のでざっくり1000年から1400年くらいズレがある)

 さてこの柏がヒノキのことだとして、ヒノキの葉の舟……? 笹の葉の舟は子どもの遊びとして日本で長年親しまれてきたもので、見るからに舟なのだがヒノキの葉の舟……? 桜の花びらが水面に溜まったのをさして花筏と言ったりするからその様な連想だとしても……ヒノキって葉っぱまとめて降らないよね? 常緑樹だよね? うーん、もしかしてメタセコイアのことを言ってる? メタセコイアなら樹皮も松やヒノキの仲間っぽいし(ヒノキ科だし)落葉樹だからまとめて降るよ。秋に茶に変色した葉が冬に崩れて松葉の様に細く降りしく。その下は川で、川の淀みに葉が溜まっているのだとしたら……ああ、ヤバい。いいね。じゃあそういう感じかな?

 ところで「柏舟ってなんやねん?」って話はやはり気になるところらしく

環氏吳紀曰:皓嘗問:「詩云『汎彼柏舟』,惟柏中舟乎?」尚對曰:「詩言『檜楫松舟』,則松亦中舟也。」

https://ctext.org/sanguozhi/53

というのが残っている。『檜楫松舟』を未読(詩経の「竹竿」を未読というべきか?)なのでなんともだが、少なくとも花筏の様にメタセコイアの葉が水に浮かんだ様を指していないことはわかる。というかこれ木材としての〝柏〟か? うーん……振り出しに戻る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る