邶風(はいふう)
第26話 柏舟(漂い浮かぶ柏舟)
※「鎌倉」(七里ヶ浜の磯づたい)のリズムで
寝られぬ我が身重なって
飲めない酒を飲んでみる
鏡に心映らざる
兄弟他人のはじまりと
ならば他人は何であろ
石なら転べ我が心
せめて振舞い優しけれ
会話の流れ思い出し
言葉を再度なぞっては
痛む胃の腑と
お天道様も蝕がある
心を洗い干せたなら
お空に飛んで行けたなら
【元の詩】
汎彼柏舟 亦汎其流
耿耿不寐 如有隱憂
微我無酒 以敖以遊
我心匪鑒 不可以茹
亦有兄弟 不可以據
薄言往愬 逢彼之怒
我心匪石 不可轉也
我心匪席 不可卷也
威儀棣棣 不可選也
憂心悄悄 慍于群小
覯閔既多 受侮不少
靜言思之 寤辟有摽
日居月諸 胡迭而微
心之憂矣 如匪澣衣
靜言思之 不能奮飛
【ひとこと】
やめて! とっくに俺のライフはゼロよ!
元の詩、同じ漢字での繰り返しだけでなく漢字が違っても音合わせしてあったり工夫されてて面白いということは分かった[1]。わかったのだけど、とてもそれどころじゃなかった。どこの俺が作ったんだこの詩……男が詠んだとか女が詠んだとか諸説あることも分かったけど、そういうことじゃないんだよ。いくつか解釈あったので一番しんどいのを待ってきた。なんならしんどさをマシマシてきた。
◯寝られぬ 眠れないの意味。「
◯優しけれ 慎ましやかであれ、の意。「なんであんなこと言うんだろうね」「思いつきもしないよね」をうっかり聞いてしまったときの俺「えっ? 思うが?? 悪気も何も、考えるとか考えないとかなくオートマチックに即座に浮かぶが???」そう言う時、せめて口に出さずに居ようと思うんだが「思わないよねぇ?」と話を振られたら曖昧に笑む他ない。心を転がし移して巻いて丸めることはできない故に……。マジか、これが〝器〟か……。せめて誰を傷つける訳でもない優しい嘘くらい滔々と述べやがれ自分……。せめて胃が痛むことを隠して早足に去る。心はなんであれせめて振舞いだけは礼儀正しくあれ。頼むから「うわぁ、あれは思うタイプだわぁw」「ウケるwww」とか言わないで聞こえてるから……。
これを訳しながらしんどさが天元突破したので中島敦『山月記』聴いてきた。アレクサに頼んだら朗読してくれちゃったんだよ、我が友アレクサ、お前そんな機能あったのか……! ついでだから読んでもきた[2]。
よかったね李徴子……! 「その声はクラスで浮いてた李徴子じゃね?w 久しぶりじゃんwww」とか言われなくて。まぁそういう相手だったら食い殺してたのかもしれないが。でもな? せめて振舞いだけでも礼儀正しく間違いなくとか思ってるとそれもできなくて「あ、あぁ久しぶりだね……!」みたいな謎の返しになるよ。(泣いてないよ……!)
虎になりたくない……虎になりたくないが既に地を
[1]柏舟(周囲を恐れる/採用されない士大夫) - 崔浩先生の「元ネタとしての『詩経』」講座(
https://kakuyomu.jp/works/1177354054918856069/episodes/1177354054921541619
[2]中島敦『山月記』(青空文庫)
https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/624_14544.html
2022年1月2日閲覧
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