第10話 汝墳(父さは夫役に)

※「ずんべら節」のリズムで


ととさは夫役ぶやくに 木をり槌打つ

三月みつきに一度も 会われず日は過ぐ

ずんべら ずんべら


ととさはに普請に 土堀り根をとる

三度に一度は 膝腰痛むや

ずんべら ずんべら


ととさは痩せこけ魴魚ほうぎょの干物さ

焼かれど逃げれぬかかさを思へば

ずんべら ずんべら


【元の詩】

遵彼汝墳 伐其條枚

未見君子 惄如調飢


遵彼汝墳 伐其條肄

既見君子 不我遐棄


魴魚赬尾 王室如燬

雖則如燬 父母孔邇


【ひとこと】

 なにこの詩。解説まるでわからんだったけど、海音寺氏の訳[1]ならわかる! 好き。

3番、我ながらいい詩。正直3番だけあればいいと思う、典故も分かろうし。自分が作詩する時の典故としての詩経、あるいは誰かの詩を読む時の典故としての詩経が今回知りたいことだから、〝訳〟する必要はないと気づいてきた。

◯ととさ 「父さ」「魚さ」の掛け言葉。夫のことをお父さんって言ったり、一人称でお父さんって言ったりするよね。元の詩の1番2番同様に夫を歌う妻の立場で姑を気にしていてもいいし、詩は詩と視点変更して男が自分のことを父さと歌ってもいい。どちらの立場でも歌えるようにしたつもり。


[1]海音寺潮五郎『詩経』 中央公論社、一九九〇年

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