国風

周南

第1話 関雎(みさご うたうよ)

※都々逸(7775)のリズムで


みさご うたうよ かわすの なかで

もとむ おとめは いずこやら

 

あさざ はえるよ よしあし まぜて

たまの おとめは どちらやら

こいに こいして ゆめにも みては

ねても さめても さがしてる


あさざ こちらよ みじかく ながく

きみの てをとり ことをひく

あさざ つみましょ よくよく えらび

ふうふ ふたりで はらづつみ


【元の詩】

關關雎鳩 在河之洲

窈窕淑女 君子好逑


參差荇菜 左右流之

窈窕淑女 寤寐求之

求之不得 寤寐思服

悠哉悠哉 輾轉反側


參差荇菜 左右采之

窈窕淑女 琴瑟友之

參差荇菜 左右芼之

窈窕淑女 鍾鼓樂之


【ひとこと】

 一般ウケしないクセのあるものほど一部には深く刺さるものと思う。この概念をパセリと読んだ人がおり、天才だと思った。ただ私はそんなに慎ましやかではないので、せっかくなら夢はでっかくセロリになりたい。メインの添え物ではなく一皿食べれるか食べれないかの問題なのだ。パクチーまで行くと専門店があったりしますよね。そこまで行けたらカッコいいね。

 さて作り手の無理筋な解説ほどしらけるものはないだろうが、推敲のメモを置いておく。腹は膨れないだろうがパセリがないのはさみしい故に。

◯あさざ 水草の一種。蓮みたいな葉っぱで瓜のような黄色の合弁花が咲く。若葉を摘んで食べるらしい。さっと湯掻いてマヨネーズ和えのサラダにしたり、ニンニク・かつお節・醤油でさっと炒めたりする様子。食べてみたい。万葉集3295の長歌にも阿耶左が詠まれておりこれだろうとのこと。

◯かわすのなかで 川州の中で、鳴き交わす仲の掛け言葉。

◯よしあしまぜて/たま 水辺に葦・蘆(よし・あし)が混ざって生えるように、良し悪し混ざった玉石混交の意味の掛け言葉。

◯たまのおとめ これねぇ……「しらたまの乙女」(海音寺氏は「しら玉のたをやをとめ」としている)や「ぬばたまの妹」(「ぬばたまの妹が黒髪」からのイメージと思われ)や「玉梓の妹」「たまのような子」「玉の男の子御子」はみるんだけど、たまの乙女って言います? 用例が見つからなかったけど強行した。なおサツマイモの品種「タマオトメ」ならあった。

◯どちらやら 何方やら。何処どこだろうの意味と良し悪し選り分けるどっちがいいかの意味。

◯ねてもさめてもさがしてる…サ押韻。理由が弱い……絶対もっとピッタリくる5文字があるはずだけど語彙の限界だった泣。

◯みじかくながく…長短混ぜて生えるようあさざのように、琴の音も短く長く弾く。

◯はらつづみ…堯の徳をたたえて腹鼓をうったという鼓腹撃壌こふくげきじょうの故事から。つまり「よい娘を得て家庭はよく治まりましたとさ、めでたしめでたし」の意味。なお「つみましょ」のツと音を合わせたつもり。


【追記】

もしかしてもしかしなくても「アサザ」についてのコメントだったのでは!?ミサゴではなく!!と気づいたのでメモ。

 こう 「和名アサザ」らしいのでアサザとした。1958年にアサザと呼ばれてたんだと理解したんだが、いま「アサザ」と呼ばれているそれと一緒かは知らんです。

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