第47話偶然の再会

今日はマディス学園で現役魔法使いの特別授業があるらしい。リリアンナは興奮した様子で学園への道を走る。

「ふふ〜ん」

「やけに機嫌良いね、そんなに楽しみなの?」

「そりゃぁもちろん!だって現役の魔法使いさんの特別授業だよ?楽しみに決まってるよ!」

ジャックの質問にリリアンナは笑顔で答えた。

相変わらず遅刻癖の直らないリリアンナはいつも通りにリンに注意され、自分の席へと着く。

普段なら凹むリリアンナだが、今日は現役魔法使いが来るからだろう、心做しかうきうきとしていた。

「機嫌良いね、そんなに楽しみ?」

「ジャックも同じ事言ってたよ、もちろん!だって現役魔法使いさんの授業を受けられるなんてすごく光栄なことじゃない!」

ルイの言葉にリリアンナは嬉しそうに言う。ルイもそんなリリアンナを見て微笑んだ。

リンが教壇に立つと、一つ咳払いをした。

「皆さん揃っていますね、今日は特別講師として現役の魔法使いが来校しています、くれぐれも失礼のないように」

そう言ってリンは教室の外にいる人物を呼び出す。おそらく現役の魔法使いだろう。

リリアンナは興奮を抑えながらその人物が姿を現すのを待った。

………すると

「………え」

リリアンナは小さく声を漏らした。見覚えのある姿があったからだ。

綺麗な黒髪にピンク色の瞳。その容姿はメルシアでは珍しく、誰もがその美しい容姿に息を飲んだ。その人物はこちらを向いたかと思うと自身の説明を始めた。

「初めまして、今日皆さんに授業させて頂く事になりましたホムラと言います…よろしく」

ホムラと名乗った青年は一瞬だけリリアンナの方を見るとすぐに視線を逸らした。

「リリー?」

リリアンナの様子がおかしい事に気付いたルイは心配そうにリリアンナを見つめる。

「え、あ、大丈夫、だよ」

リリアンナはぎこちなく笑顔でそう返すともう一度ホムラへ視線を移す。

街中で出会った人が、しかもぶつかった相手が現役の魔法使いだったなんて…なんとも言えない感覚に陥ったリリアンナは教科書を口元へ持っていく。

それを知ってか知らずか、ホムラは授業を始めようとしていた。

「それでは今回の授業は、三大魔法士について説明、します……いい?」

そうして特別講師であるホムラの授業が始まった。

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