第46話なりたい?
「ルイはさ、三大魔法士のことどう思ってる?」
昼下がりの教室でリリアンナはそうルイに問いかけた。ルイは手に持っている教科書を片付けながら答える。
「すごいなとは思うよ三大魔法士なんて魔法使いにとっては憧れの存在じゃないか」
「そうだよねぇ~………そういえば」
リリアンナは思い出した様にぱっと顔を上げる。ルイは片付けた教科書を確認してリリアンナへ顔を向ける。
「三年に一度だけ三大魔法士になる資格が与えられる儀式があったよね、えーと…」
「交代の儀式?」
「うん!それそれ!」
ルイの言葉にリリアンナは笑顔で頷いた。
「最近はずっと三大魔法士になる器の魔法使いがいなくて数年同じ魔法使いが担当してるんだよね」
いつか読んだ本にそんな事が書かれていたのを思い出す。交代の儀式は三年に一度だけ行われ、現在の三大魔法士に認められればその認められた魔法使いが三大魔法士の一人になると書いてあった気がする。
「ルイはなりたい?」
「三大魔法士に?」
「うん」
リリアンナの純粋な疑問にルイはうーん、と考え込んだ後、リリアンナの顔を見つめた。
「僕は…いいかな」
全ての授業が終わり学園からの帰宅途中、ルイの言葉を思い出す。
僕は…いいかな
ルイ程の実力があればこれから魔法使いとして勉強して実戦を繰り返せば三大魔法士に選ばれてもおかしくはないだろうとリリアンナは考える。そんなリリアンナの隣でジャックは相変わらず何を考えているのかわからない無表情を貫いていた。
「ルイはなんでなりたくないんだろう…」
三大魔法士は魔法使いの憧れだと、言ったのはルイなのに…そんなリリアンナの独り言にジャックが返す。
「皆が憧れるからってルイも憧れるとはならないんじゃない?」
その言葉に納得したリリアンナはそうだね、とジャックに返し、今日の晩ご飯は何にしようかと思考を切り替えた。
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