第43話オリジナル魔法
謎の白髪さんと出会い、お昼休みが過ぎて午後の授業へ。リリアンナはルイとアンジェ、ジャックと合流すると教室に戻り担任であるリンを待っていた。
数分が経ちチャイムが鳴ると同時にリンが教室に入ってくる。
「起立!礼!着席」
生徒達が着席したのを確認したリンはいつもの様に長くて綺麗な赤髪を揺らしながら言う。
「午後の授業だからといって気を緩ませ無いように…それでは授業を始めます」
リンはそう言うと黒板に文字を書き始める。
そこに書かれたのは…
「オリジナル魔法…?」
小さな声でリリアンナがそう呟く。前の席に座っているルイには聞こえた様でシーっとこちらを向いて指を立てた。
「今日はオリジナル魔法についてお話します…と言ってもオリジナル魔法を練習、習得するのは三年になってからなので今日は皆さんに幾つか質問をします」
リンがふぅ、と息をつくと生徒達に説明をする。
「オリジナル魔法とは貴方達が培ってきた魔法や知識を貴方達自身が見つけ、新しい魔法として使う…簡単に言えば自分にしか使えない魔法、と認識して頂いて大丈夫です」
リンは生徒達を見回すと一人の生徒に質問する。
「貴方」
「は、はい!」
「貴方はどんなオリジナル魔法が使いたいですか?」
突然リンに呼ばれた生徒は驚きながらも答える。
「ぼ、僕は誰かの為になる魔法を使いたいです…守ったりする様な、防御魔法ですかね」
その答えにリンはなるほど、といった様子で頷いた。
「ルイ・ファリス」
「はい」
ルイは呼ばれると静かに返事をした。
「貴方はどんな魔法が使いたいですか」
「僕は┈┈┈┈」
リンの質問に少し躊躇う様な素振りをみせたものの、すぐに答える。
「僕は誰もを救う様な魔法を使いたいです、人々を守り、戦う…そんな魔法を使いたいです」
「素晴らしい」
ルイの答えが気に入ったのかリンはゆっくり微笑むと一つ咳払いをした。
「貴方達それぞれが使いたい魔法、理由が様々でしょう…それで貴方達にはこの紙にどんな魔法が使いたいか理由も兼ねて書いて欲しいです」
リンが指をパチン!と鳴らすと教壇にあったプリントがそれぞれの生徒達の机に置かれる。
「期限はありません、ですが内容が分かりにくい場合は再提出です」
よろしいですね、と言うリンとプリントを交互に見るリリアンナはう〜んと頭を悩ませていた。
放課後、いつもの様にルイ、アンジェ、ジャックと帰るリリアンナはルイに問いかける。
「ねぇルイ、オリジナル魔法って何を書けばいいと思う?」
リリアンナの問いかけにルイはそうだなぁ…と考えているとアンジェが突然声を上げた。
「はいはぁ~い、わたしはオシャレなお洋服がいっぱい出てくる魔法がいいわぁ」
「あはは、それは楽しそう」
アンジェの発言にリリアンナは笑いながら言う。対してルイは呆れた様子でアンジェを見ていた
「アンジェ…そんな魔法使いたいなんて言ったら怒られるよ」
「わかってるわよぉ、でもそんな魔法があったら楽しいしわくわくするじゃなぁいリリアンナも楽しそうって言ってるわよぉ?」
うぐ、とルイは言葉に詰まる。アンジェはいつも通りにニコニコ笑っている。
「ジャックは?使いたい魔法ってある?」
後方を歩いていたジャックにリリアンナが振り向きそう聞くとジャックは腕を組み、考えながら言葉を発する。
「………ココアをもっと美味しく淹れる魔法?」
首を傾げながらそう言うジャックがあまりにも子供っぽくてリリアンナはついつい笑ってしまう。
「あははは!ココアか~これ以上ジャックのココアが美味しくなったら他のココア飲めなくなっちゃうかも」
くすくすと笑いながらリリアンナが言う。その様子を見たジャックは言うんじゃなかった…と後悔していた。
「リリーはどうしたいの?」
ルイの問いかけにリリアンナはう〜んと頭を捻る。
「それがわからないんだよねぇ…使ってみたい魔法はたくさんあるけれどどれもピンとこないと言うか…それに私、魔法上手く使えないし…」
落ち込むリリアンナの頭をルイは優しく撫でる。
「大丈夫だよ、リリーは頑張ってる期限は無いって言っていたしゆっくり考えればいいよ」
「……うん!」
リリアンナが笑顔でそう返すとルイも優しく笑った。
けれど魔法が上手く使えないリリアンナにとってオリジナル魔法は夢のまた夢だとリリアンナ自身は思っていた。
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