第42.5話まだ

コツコツ、と誰かの歩く音がする。その音を聞いた少女は目を開けるとゆっくりと笑った。

「あら、もう帰ってきたの」

「うん君の言っていた通り面白い子だったよ」

白髪に紫の瞳を持つ青年は少女に言う。

「……本当に、"彼女"にそっくりだった」

「えぇ、でも私は見守ると決めたから」

少女は暗い暗い洞窟の中、石の上に座りそう言った。青年は溜息を吐く。

「まだこんな所にいるつもりかい?」

「馬鹿馬鹿しいと笑ってくれていいわ…けれどやっぱり…」

「わかってる言わなくていいよ」

目を伏せ、悲しそうな表情をした少女に青年はモヤモヤとした気持ちになる。

…………自分なら、そんな悲しい想いをさせないのに

けれど少女は待ち続けるのだろう。たとえ世界が滅んでも、全てを忘れても

「私は待ち続けるのです、そして"あの子"を見守り続けるのです」

そう言う少女の目は固い意思を持っていた。

「まだその時では無い…けれどもし、もし"その時が来たら…」

━━━━━私を殺して

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