第40話謎の少女

とても美しい少女だった。陶器のような肌に足先まである長い銀髪は陽の光を浴びて透明に見える。リリアンナは思わず息を呑んだ。

「あ…えっと」

「ふふ、驚いているって顔…大丈夫よただ貴方とお昼を食べたいだけなの」

謎の少女は優しく笑うと隣りをポンポンと叩いた。ここに座れ、ということだろう。リリアンナは素直に従った。

「初めまして…リリアンナって言います」

少し緊張した様子でリリアンナは自己紹介をする。謎の少女は優しい笑顔を絶やすことなく言葉を紡ぐ。

「リリアンナ…そう、素敵な名前ね…私の事はそうね…メルって呼んでちょうだい」

謎の少女───メルはそう言って膝の上に置いていた林檎を一口齧る。

「メル……」

リリアンナはそう名前を反芻すると手に持っていたサンドイッチの入ったバスケットを開ける。

「あら、美味しそう貴方が作ったの?」

「あ、えっと…そう、です」

緊張して答えるリリアンナにメルはくすくす、と笑いながら言う。

「緊張しなくてもいいのよ、安心してちょうだい…気軽に接してくれたら嬉しいわ」

メルはどこまでも穏やかな口調でリリアンナに接する。

「う、うんメル…はどうしてここに?」

見たところマディス学園の生徒ではなさそうだ。リリアンナが疑問に思ったことを口にするとメルはゆっくりと答えた。

「そうね…久しぶりに外に出たかった…からかしら?」

メルの言葉を不思議に思ったがリリアンナはそれ以上聞くこともなくサンドイッチを頬張った。

「…ねぇ良ければそのサンドイッチ、一口くれないかしら?」

既に林檎を食べ終えたメルがリリアンナにそう聞く。リリアンナも断る理由が無いため素直に卵サンドをメルに渡した。

「ん…あら、甘くて美味しい…好きな味だわ」

「本当?良かったぁ」

メルの言葉にリリアンナはほっと胸を撫で下ろした。そうしている内に昼休みが過ぎようとしていた。

「あ!もうこんな時間!早く教室に戻らないと…」

リリアンナは立ち上がり教室へ向かおうとする。

「もう行くの?」

メルは少し寂しそうにリリアンナを見つめる。

「うん…でもお昼ご飯一緒に食べてくれてありがとう!また会えたら一緒にお話しましょう」

リリアンナが笑顔でそう言うとメルは目を丸くした後、ゆっくり笑って…

「…えぇ、楽しみにしているわ」

そう言った。

……………………………

「あ、リリーごめんねお昼一緒に食べれなくて」

ルイはそう言ってリリアンナに謝る。

「…なんか、嬉しそう?」

ジャックがそう言うとリリアンナは笑って

「えへへ…秘密!」

と言った。

ルイもジャックも側で見守っていたアンジェも不思議そうに首を傾げた。

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