第39話ちょっと違う日

テストが終わっても学園に通うことは終わらない。メルシアの街に一人の少女の声が響き渡る。

「ち、遅刻~~~~!!!!」

全速力で走りながら少女━━━━リリアンナはマディス学園までの道のりを人混みを避けながらジャックと急いでいた。

「昨日、夜更かししたから…」

ジャックは息を乱すことなくリリアンナの隣を走る。リリアンナは息も耐えたえといった様子でジャックに謝る。

「うわ〜ん…だってテスト終わってちょっと安心してたんだもん!…でもごめんね、ジャックも朝から走らせちゃって…」

「…いや、それはいいんだけど…」

テストが終わり安心したリリアンナはちょっとだけ夜更かしをして好きな作家の本を読んでいた。ジャックは早く寝た方がいいと言っていたがリリアンナは本に夢中で結局寝たのは一時が過ぎた頃だった。

「あと十分!で!チャイムが!鳴る!」

リリアンナは更に走るスピードをあげる。ジャックも同じ様にスピードをあげ、走る。

そうこうしている内にマディス学園が見えてきた。

「ギリギリ……セーーーフ!!」

「アウトだよ」

校門に入りリリアンナがそう言うと緑髪の少年が優しくリリアンナの頭をチョップした。

「…ルイ!で、でもチャイムはまだ鳴ってないよ!」

「そういう問題じゃない、全く…リリーはいつも遅刻ギリギリなんだから…」

うっ、とリリアンナが少し凹んでいると後ろからジャックが追い付いてきた。

「校門で喋る暇があるなら早く教室にいった方が良い…チャイムがなるよ」

「……あ」

ジャックの言葉にリリアンナとルイははっとした様子で顔を見合せすぐに教室まで走っていった。

…………………

「うぅ~あんまりだぁ…」

昼休み、リリアンナはお弁当を持ちながらそうごちる。結局チャイムが鳴る前に教室には着いたものの、教師であるリンに叱られ、クラスメイト達からはくすくすと笑われてしまった。

ルイは普段優秀な為か今回の事は目をつむる事にされた。

「ルイだけずるいよぉ…まぁ遅刻した私が悪いんだけど…」

リリアンナははぁ、と溜息をつく。いつもならルイ達と一緒に昼食を食べている時間だが、ルイは次の授業の手伝いを頼まれた為、一人で食べる事になった。

「アンジェもジャックもルイのお手伝いに行ってるしなぁ…しょうが無いから一人で…」

「お嬢さん」

ふと、リリアンナの耳に声が聞こえた。その声は優しくどこか儚い雰囲気があり、リリアンナは思わず声が聞こえた方を向いた。

━━━━そこにはこの世のものとは思えない程に綺麗な少女がいた。

少女はリリアンナに優しく笑顔を向けるとゆっくりと口を開いた。

「よければ一緒にお昼はどうかしら…お嬢さん」

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