第36話テスト当日
マディス学園のテストは三日間の間に行われる。今日はテスト一日目だ。
「ふぅ…」
リリアンナは緊張する体を奮い立たせる。
ルイにもメルトにもアンジェにも頑張ろうと言われたのだ。それにジャックにもココアを貰った。だから大丈夫。
リリアンナはそう考えながら机に向かう。
リンが教室に入ってきた事によりクラス内は緊張感に包まれる。
「…それではテスト用紙を配ります、チャイムが鳴ったら開始してください…言っておきますが不正は発覚した場合即刻退場です」
言いながらリンはテスト用紙を生徒達に配っていく。そうしてリリアンナの元にもテスト用紙が渡された。
「それではテスト開始のチャイムが鳴るまで静かにしていてください」
リンはそれだけ言うと黙った。開始のチャイムが鳴るまで後、三秒…二秒…一秒…
「開始」
テストが始まった。
…………………………
「や、やっとお昼休みだ…」
学園にある中庭でリリアンナは疲れた様子でサンドイッチを頬張る。その隣にはお弁当を食べながら次のテスト範囲を復習するルイとそんなリリアンナとルイを眺めるジャックとアンジェがいた。
「うぅ…午後もテストかぁ…これが後二日続くと思うと狂っちゃいそうだよ」
リリアンナの言葉にルイは軽く笑いながら言う。
「大丈夫だよ、テスト勉強あんなに頑張ってたし絶対合格するって」
「うぅ、ありがとう」
リリアンナは感謝を伝えつつルイと同じ様に次のテストの範囲を勉強する。
「二人とも頑張ってるわねぇ」
「そうだね」
アンジェとジャックはなるべく邪魔にならない様にテスト中も静かに主人達から離れていた。
「正直ルイは絶対合格すると思うけどぉ…リリアンナはどうかしらぁ?」
アンジェのジャックを試す様な発言にジャックは小さく笑って
「…大丈夫だよ絶対」
そう言った。
……………………
「テスト一日目終わりー!」
リリアンナは軽く伸びをしながら元気にそう言った。
「まだ二日あるけどね」
ジャックの発言にリリアンナはうっ、となりながらも次のテスト勉強をする為に早く家に帰ろうとしていた。今はその帰り道である。
「そういえばルイはどうしたの?今日も一緒に勉強するんじゃないの?」
ジャックはリリアンナにそう尋ねるとリリアンナはう〜ん、と考える素振りをみせる。
「実は今日もルイと一緒にテスト勉強しようって話だったんだけど…ほら、最近私の家で夜遅くまで勉強してたでしょう?それがルートおじさんにバレちゃったみたいで…今日は私一人で勉強!」
ルイには悪い事をしたとリリアンナは反省しているが、ここまでテスト勉強を手伝ってくれたのだからここからは自分の力で頑張ろう!と意気込んでいた。
「…一人じゃないよ」
不意にジャックがそう呟く。
「僕もいるから」
それだけ言うとジャックはリリアンナに目線をよこしたと思うとそそくさと先を歩く。
「ふふ…そうだよね、"二人一緒に"ね」
リリアンナは微笑ましい気持ちになりながらジャックの後を追う。
なんだか二日目も頑張れそうな気がした。
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