第33話帰り道
放課後、早速テスト勉強の為にルイとアンジェとジャックと共にリリアンナは帰る支度を始める。いつもはルイの家で魔法の勉強をしているが、迷惑ばかりかけてもいけないから、とリリアンナの提案でリリアンナの家で勉強する事になった。
「別に気にしなくてもいいのに」
ルイがそう呟くとリリアンナは首を振る。
「だーめ、テスト勉強付き合ってもらうだけでも迷惑かけるんだから、ルイの家にお邪魔するのはまた今度ね!」
変なところで律儀なのは相変わらずだなとルイは思いながらリリアンナの言葉に頷く。つくづく、リリアンナに甘い。とジャックは思った。
「テスト勉強っていっても今回の範囲はリリーでも復習ちゃんとすればわかると思うから一緒に頑張ろうね」
ルイがリリアンナにそう言って微笑む。リリアンナもうん、と頷き微笑む。すると────
「先輩!」
と声が聞こえた。振り返るとメルトが立っていた。
「メルト!この間ぶりだね」
「わ〜い!また先輩に会えた~!」
メルトは心底嬉しそうにリリアンナの元へ駆け寄り、リリアンナに抱き着く。
「わぁ、もういつもいきなりなんだから」
「えへへ~!………あ」
メルトはリリに抱き着いて嬉しそうな表情をしていたがすぐに不機嫌そうな顔になった。
「………なんだ、ルイ先輩もいたんですね」
「うん、いたよ」
メルトは不機嫌と嫌悪感を隠そうともせずにルイに目線を向ける。ルイはやっぱり、といった様子で笑った。
「……それで先輩!こんなにたくさんの人達と一緒にどこへ行くんですか?」
メルトはリリアンナに笑顔を向けて聞く。ルイの時とは明らかに態度が違う。
「今日はテストの為に私の家でテスト勉強するんだよ」
「え!先輩の家で!?」
メルトはびっくりした様な表情になる。…感情がわかりやすい子だな…なんてジャックは思った。
「…そ、それってルイ先輩もですか…?」
「…?そうだよ、ルイも一緒」
リリアンナのその言葉にメルトはむっとする。すると突然
「じゃあ僕も一緒に先輩の家にお邪魔してもいいですか?」
「えぇ?」
メルトの発言にリリアンナは困惑する。メルトは中等部だ、高等部であるリリアンナと同じテストは受けないだろう。
「……メルト、それはさすがに失礼なんじゃないかなリリーも困っているよ」
ルイの言葉にメルトはうっ、と口篭る。けれど大好きなリリアンナとルイが一緒、と言うのが嫌なのだろう。引き下がろうとはしなかった。
「せんぱぁい…お願いします!邪魔だけはしませんので!」
メルトは玩具を欲しがる子供の様にリリアンナにお願いする。
「う〜ん…まぁちょっとだけなら?」
「リリー」
「だ、大丈夫!遊ぶわけじゃないし!メルト、テスト勉強中は静かにしていてくれる?それが守れるなら良いよ」
リリアンナの言葉にメルトはぱぁっと顔を明るくさせ、頷く。
「はい!もちろん!邪魔はしません!」
メルトは嬉しそうにリリアンナに回した腕に力をいれる。
「はぁ…本当に、リリーは甘いなぁ」
ルイの言葉にジャックとアンジェはお前が言うなとばかりにルイに視線をよこした。
「それにしてもぉ、リリアンナってモテるのねぇ」
「大丈夫かな…」
それぞれが複雑な気持ちを抱えながら家路へと向かった。
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