第30話三大魔法士
翌朝、いつもの様に遅刻ギリギリで学園についたリリアンナは早速ルイに昨夜の話をした。ルイはリリアンナの話を聞き終えるとリリアンナが予想した通りに呆れた様に笑った。
「メルトに会ったんだ、相変わらずリリーに対して忠犬だね」
「忠犬って…でも卒業式以来会っていなかったから元気そうでよかった!ルイも一緒にメルトに会いにいこうよ!」
リリアンナがそう言うとルイは軽く頭を掻きながら小さく苦笑する。
「あー…そうだね、でも多分メルトは僕に会いたがらないと思うなぁ」
ルイのその言葉にリリアンナはどうして?と尋ねようとしたが、リンが来たことにより断念せざるを得なかった。
「さて…皆さん集まっていますね?今日は私達が最も憧れる存在である三大魔法士について話していきたいと思います」
リンのその言葉にクラス中がザワつく。
「三大魔法士!ようやくお話が聞けるね!」
「中等部の頃は教科書で読んだ程度だったもんなぁ」
生徒達は今からどんな話がされるのかわくわくしている様子だった。リリアンナもルイもそれは同じらしく早くリンの話を聞きたいと無言で待っていた。
「こほん…三大魔法士は皆さん知っての通り、このメルシアという国を守るとても強く神に愛されたとまで言われる程の魔法使いです」
リンはそう言って語り始めた。
────三大魔法士、それはメルシアを守る魔法使い達。素性や何もかもが謎に包まれており誰も見たことがないと言われている。そして何より全ての魔法使いの憧れでもある。三大魔法士は強い魔法を容易に扱い、知識も豊富で魔法使いとしてトップレベルの存在なのだ。全ての魔法使いが三大魔法士の様になりたいと憧れ、このマディス学園に通うのだ。
「三大魔法士はこのメルシアという国を創ったメルシアの次に崇められる存在です、いつかこの学園にも三大魔法士の役目を負う生徒もいるかもしれません」
リンはそう言って生徒達を見つめる。
「三大魔法士になるべくこの学園に通う生徒が大半でしょう、いつかこのクラスの中から三大魔法士になる存在が現れる事を願っています」
そう言ってリンは笑った。
────
「すごかったねぇリン先生のお話!」
昼休み、いつもの学園の中庭でリリアンナはサンドイッチを頬張りながらきらきらした目でルイに言う。ルイはお弁当に入っている玉子焼きを食べながら頷いた。
「そうだね、三大魔法士は全ての魔法使いにとっての憧れだからね」
「う~!私ももっともっと頑張って三大魔法士みたいに強くて立派な魔法使いになるぞー!」
リリアンナはそう言って拳を握る。ルイはそれを微笑ましく思いながらご馳走様でした。と呟いた。
「なれるよリリーなら」
「えへへー!ありがとう!でもきっとルイの方が絶対に三大魔法士になれそう!」
リリアンナがそう言うとルイはう〜ん…と考える素振りをみせる。
「確かに三大魔法士になるのは僕の夢でもあるけどいまいちピンと来ないなぁ」
「ルイがピンと来ないなら私だって一緒だよ!いつか三大魔法士になれるといいね!」
リリアンナがそう言って笑うとルイも同じ様に笑う。
「なれると、じゃなくて絶対なるんだよ」
その言葉を聞いてリリアンナとルイは笑い合う。その様子をジャックとアンジェは遠目に見ていた。
「ほんと〜にルイったらぁあの子には甘いんだからぁ…ねぇジャック?」
「……そこでなんで僕に聞くの」
「またまたぁわかってるくせにぃ」
「………はぁ」
ニヤニヤと笑うアンジェにジャックは溜息を吐いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます