第26話練習
放課後。早速ルイの家で魔法の練習をするリリアンナ。ルイはわかりやすく説明をする。
「炎系の魔法はまだリリーには扱いづらいと思うから比較的に簡単な風魔法から覚えよう」
ルイのその言葉に従い、リリアンナは杖に魔力を込める。
「風…風…ウィンド!」
そうリリアンナが言うやいなや杖の先端が光る。しかし────
「だ、だめだぁ…」
風が吹くどころか何も起きなかった。リリアンナは肩を落とす。ルイはそんなリリアンナを見てアドバイスをする。
「大丈夫、リリーはもう少しリラックスして、肩の力を抜いてもう一回やってみよう」
「う、うん!」
ルイの励ましの言葉にリリアンナは頷くともう一度集中する。
今度は間違えないように…
「ウィンド!」
そう言うと風がリリアンナのスカートをはためかせたかと思うと、強い風が吹き荒れる。
「わ、わ!?」
思いがけないその威力にリリアンナは慌てる。このまま空に放り投げられてしまう…と言うところで…
「ストップ」
リリアンナの手を握ったかと思うとジャックはリリアンナの風魔法を止めた。
「ジャ、ジャック…」
リリアンナが呟くとジャックは無表情のまま告げる。
「…威力を発揮しすぎ、そんな調子じゃただでさえ少ない魔力をすぐに使い果たしちゃうよ」
ジャックの助言に確かに…となったリリアンナは素直に感謝を述べる。
「ありがとうジャック」
「ん」
その様子を見ていたアンジェは不思議そうな顔をする。
「あの子ってぇ魔力が弱いのにいきなりこんな威力の魔法出せるのぉ?」
それはルイも思った様で考える素振りを見せた。
「う〜ん…いきなりだからこそ?なのかな…コントロール出来ずに威力が高くなったのかな…」
そんな事を考えているルイにリリアンナは話しかける。
「もう一度!お願いします!」
律儀に頭を下げるリリアンナを見てルイも目を細めて笑う。
─────それから暫く魔法の練習が続いた。
最初の内は風魔法が扱えなかったリリアンナもコントロール出来るようになってきたのか、少しずつだが、風魔法を習得しようとしていた。
ルイはリリアンナの成長を喜ばしく思いながらも少し驚いてもいた。
…まさか一日でここまでコントロール出来るようになるとは、ルイはそう思った。
たとえ低級魔法であろうと完全に習得するまでには長くても三日はかかる。だがリリアンナの場合は一日で殆ど完璧に近い程に風魔法を扱えていた。
「やっぱりすごいよリリー」
ルイはそう呟く。そこへ…
「なんだ、また来たのか小娘」
「…あ」
「父さん…」
綺麗で皺一つないスーツを着た男性、ルイの父親が立っていた。
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