第24話祝・凸凹コンビ結成
リリアンナとジャックの契約が成立したその日の夜。リリアンナの家では小さなパーティーが開かれた。
「改めてリリアンナ、ジャック、契約成立おめでとう!」
アリスはそう言うとぱん!と花火を形作った火を魔法で作った。
「ありがとう、お父さん」
リリアンナも嬉しそうににこにこと笑っている。それを見たジャックも微笑んでいた。
「今日はパーティーだよ!さぁいっぱい食べて!」
そう言ってアリスはテーブルに料理を並べ始める。
ハンバーグにサラダの盛り合わせ、焼きたてのパンにデザートにはアイスもある。平凡な生活を送るリリアンナにとって晩御飯でこれだけ食べれるのはまさに贅沢と言っても過言ではなかった。
「こんなに?本当にいいの?」
「もちろん!だって今日はリリアンナとジャックにとって大切な日なんだから」
アリスは当の本人達より喜んでいた。
「それにしてもリリアンナが使い魔を…しかも上級精霊を呼び出すなんて…成長したなぁ」
アリスはそう言ってほろりと涙を流す。リリアンナはくすくすと笑いながら言う。
「もう…お父さんったら…」
でも嬉しいのはリリアンナも同じだ。これからもジャックと一緒にいられるのだから。
「リリアンナ」
ジャックに呼ばれたリリアンナは隣に目を向ける。
「…ありがとう」
ジャックはそう言って手を合わせていただきます。と呟くと早速料理に手をつける。何故感謝されたのかこの時のリリアンナはわかってはいなかったが、ジャックの笑顔を見て心が満たされたのは確かだ。
その日の夜は遅くまでリリアンナ、ジャック、アリスの三人でたくさん話をした。
「…それにしても」
興奮が少し落ち着いた頃、アリスが言った。
「リリアンナは低級魔法も使えないけどジャックはどうなの?」
そう聞かれたジャックは少し考えた素振りを見せ
「…上級魔法はあらかた使える…と思う、多分、リリアンナの手助けは出来ると思うよ」
そう言ってまた料理に手をつけ始めた。それを聞いたアリスはじゃあ…と指を立てて
「低級魔法も使えない魔法使いのリリアンナと上級魔法があらかた使える使い魔のジャック、略して凸凹コンビの結成だ!」
そう言って笑うアリスをリリアンナは苦笑しながら見つめていた。…言い方はあれだが、確かに、リリアンナとジャックは魔力や使える魔法が大幅に違う。
「凸凹コンビ…か」
料理を食べ終え、すっかり寝てしまったアリスを寝室まで連れていき、ジャックと部屋の前で別れた後、リリアンナはベッドでアリスに言われた事を反芻していた。
「これからたくさん大変な思いをするんだろうなぁ」
でもそれ以上にたくさんの楽しいことが待っているとリリアンナは信じていた。どうか、こんな日々が続きますように…そんな事を考えながら、今日という幸せな日を絶対に忘れないと思いながらリリアンナは眠りについた。
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