第17話一日目
「おはようジャック!」
「…おはよう」
朝、いつも遅刻ギリギリに起きるリリアンナだが昨日の召喚の儀式で興奮していた為か早く起きた。ジャックはと言うとまだ眠そうに目を擦っている。
……昨日は大変だった。
召喚の儀式の事もあるが何より一番はアリスのことだ。アリスが早く帰れるからルイの家には行けない事をルイに告げるとルイはわかったと言ってアンジェと帰路についた。そしてリリアンナもジャックと一緒に帰り、ただいまと言って玄関を開けると普段にこやかで滅多に慌てないアリスがジャックを見ると途端に騒ぎ出したのだ。彼氏なのか?!それとも友達!?とやけに騒がしくリリアンナに問い詰めてことの事情を話すと納得した様な顔をしてそのままそれ以上何も言うことはなかった。けれどあんなに騒ぐアリスを見たのは初めてでリリアンナはびっくりしていた。ジャックは相変わらず無表情だったけれど
「それじゃあ学校に行こう!」
リリアンナがそう言って扉を開けようとするが…
「朝ご飯、食べなくていいの?」
ジャックの言葉にはっとしてリリアンナは笑う。
「あ、あはは~ごめんごめん、忘れてた!」
そう言うリリアンナを見てジャックは溜息をついた。…朝からあんまり良い雰囲気ではない。
学校で取り戻さなきゃ!朝ご飯のトーストを齧りながらリリアンナはそんな事を考えていた。
………結果としては惨敗だった。
魔法の授業中、周りの生徒達が成功する中、リリアンナだけ何故か魔法が発動せずやっと発動したかと思ったら爆発を起こし教室中にボヤ騒ぎがおきたりした。リンからお説教をくらったリリアンナはジャックの元へ戻ると開口一番に
「低級魔法も使えないなんて…周りの言っているポンコツって本当なんだね」
と言われてしまった。
落ち込んだリリアンナはその後の授業も失敗が続き、ジャックは溜息を吐いてばかりだった。
生徒達からポンコツ呼ばわりされて馬鹿にされるのには慣れたが一番心苦しかったのはルイが心配そうな顔でリリアンナを見つめ、励ましの言葉をかけてくれた事だ。ルイはいつも優しいがこの時ばかりは馬鹿にされた方がまだよかったというものだ。
「はぁ…」
帰り道、リリアンナはつい溜息を漏らす。その隣でジャックが追い打ちをかける様に言う。
「後六日」
「う…」
このままではダメだ、なんとかしないと…でもどうやって?リリアンナはそんな事を考えながらベッドに潜り込む。
「絶対絶対、諦めない…ぞぅ」
そう言うやいなや疲労がたまっていたのかそのままぐっすりと眠ってしまった。
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