第16話条件

「条件、ですか?」

リリアンナが首を傾げる。ジャックは無言のままリンの言葉を待っていた。

「そうです、このまま言い争っていても意味が無いでしょう?ですから条件を設けるんです」

びしっと指を立てるリンは言った。

「これから一週間、リリアンナ・フローテとジャックは使い魔と魔法使いと同じ様に常に一緒に行動します、そしてジャックがリリアンナ・フローテを主人にしてもいいと思ったら契約をする…それでどうでしょう」

確かにそれは…いい案かもしれないとリリアンナは思った。一週間傍にいればジャックと仲良く出来るかもしれない。

「はい、はい!私、やります!」

リリアンナは手を挙げてそう言う。それを見たリンはジャックに目線をうつす。ジャックもそれに気付き仕方ない、といった様子で溜息を一つ。

「…わかった、その条件のむよ…ただし僕がこの子の使い魔になりたくないと思ったらすぐにこの契約は破棄だ、いいね?」

ジャックの有無を言わせない言葉にリリアンナは一瞬躊躇う、がすぐに決意した様な表情になる。

「うん…それで構わない、絶対貴方と契約してみせる!」

リンは二人のやり取りを見て薄く笑った。

「それでは決まりですね、今日はここまでにしましょう…全員、使い魔と共に暮らし一緒の時を過ごします、最初は慣れないかもしれませんが強い絆で結ばれた貴方達ならすぐに慣れるでしょう…くれぐれも使い魔と仲違いする様な事は無いようにして下さい」

リンの言葉に生徒達がはい、と応える。

…よぉし、頑張らなきゃ!

リリアンナは拳を握りそう意気込む。ジャックはと言うと無表情のまま何を考えているのかわからなかった。

「…大丈夫かなぁ」

ルイが小さくそう零した。アンジェはそんなルイを見てにこにこと笑っていた。

リリアンナとジャックの契約をかけた一週間が始まろうとしていた。

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