第15話ジャック

リリアンナは少年にそう聞かれ頷く。すると少年は何か考える様な素振りを見せた後、リリアンナを見つめる。

─────とても綺麗な少年だ。

リリアンナはそう思った。癖のある茶髪にルビーを嵌め込んだ様な真っ赤な瞳。見た目は十歳くらいだろうか、美少年とはまさにこの少年の為にあるのではないかと思う程に少年は神秘的だった。

「…あれって上級精霊だよね?なんでポンコツが呼び出せるの?」

「え、まさか禁忌魔法でも使った?」

「でもそんな魔法使える程の魔力ないでしょ」

他の生徒達の声が聞こえてリリアンナははっとする。少年のあまりの美しさに見蕩れていた。

リリアンナは少年に声をかける。

「あ、あの!貴方の名前は?」

リリアンナがそう問いかけると少年は一瞬口を噤んだ後に小さく言った。

「……ジャック」

「ジャック…」

リリアンナは少年…ジャックの名前を聞いてにこりと笑う。

「ジャック、そうジャックね…よろしくねジャック!私はリリアンナ!」

そう言って手を差し出す。

「よければ私の使い魔になってくれませんか?」

リリアンナがそう問うとジャックは即答した。

「嫌だね、君の使い魔にはならない」

無表情のままジャックはリリアンナにそう言った。

ピシリ、と場が凍る。すると…

「あっはははは!!」

急に生徒達が笑い始めた。

「なんだよ、やっぱりただの偶然じゃん!」

「変だと思ったんだよね~ポンコツが上級精霊呼び出すなんて」

嘲笑う様なその言葉にまたしても挫けそうになるリリアンナだが諦めずにジャックを説得する。

「そ、そんな事言わずに!ほら、ここで出会ったのも何かの縁だし!ね?」

「嫌だね」

ジャックは頑なにリリアンナとの契約を拒む。それでもリリアンナは諦めない。

「な、なんで…は、もしかして私の魔力が低いから?!そうなの!?」

リリアンナはジャックの肩を揺すりながら聞く。はたから見たら変な構図だ。

「………まぁ、そんなところだから───」

ジャックが言いかけたところでリンが口を出す。

「お取り込み中悪いのですが…」

リンを見てリリアンナは背筋を伸ばす。

「このままでは埒が明かないと判断しました、そこで…」

リンはリリアンナとジャックを交互に見つめ、こう言った。

「ある条件を設けませんか?」

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