第12話召喚の儀式

一人の生徒が緊張した面持ちで召喚陣の中心に立つ。ゆっくりと両手を組むと目を瞑る。そして呪文を唱えた。

「精霊よ、我が呼びかけに応えよ」

その瞬間、淡い光がその生徒を包み込む。暫く点滅する様にチカチカと光っていたものが姿を現す。

「……?」

掌に収まる様な小さな精霊がその生徒の前に不思議そうな顔をして蝶の様に飛んでいる。

精霊を呼び出した生徒はほっとした様な顔をして精霊に声をかける。

「初めまして、よければ僕の使い魔になってくれませんか?」

生徒がそう言うと召喚された精霊はにこりと笑い頷いた。そして精霊がその生徒の頬にキスをする。………契約成立の印だ

「ふふ…よろしくね」

生徒は嬉しそうに精霊を撫でながら召喚陣から下がり、元いた場所へと戻る。他の生徒達は羨ましそうにその光景を見ていた。

そして次々と他の生徒達も同じ様に召喚の呪文を唱え、精霊と契約を成立させていた。

「…次、ルイの番だね」

リリアンナが緊張を隠さずに伝えるとルイも流石に精霊を呼び出すのは緊張するのか、額に汗をかきながら頷いた。

「ルイ・ファリス」

リンが呼ぶとルイはゆっくりと歩きだす。

召喚陣の中心にルイが立つといままでの生徒達がやっていた様に両手を組む、そして──

「精霊よ、我が呼びかけに応えよ」

そう言うと光が現れる。けれどその光はいままでの光と違った。

「ルイ!?」

リリアンナは焦った様にルイに近付こうとしたが、リンに止められる。

「リリアンナ・フローテ!その場にいなさい!…これは」

やがていままでと違う強い魔力を感じる光が消えて精霊が姿を現す。

「わたしを呼んだのってぇ…あなた?」

ピンクの長い髪をツインテールにして自分の目と同じ色の紫の兎の飾りをつけた少女がそう言ってルイを見下ろしていた。

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