第13話アンジェ

周りの生徒達は呆気にとられ、その様子を見ていた。リリアンナも同じ様に不思議そうにルイとその少女を交互に見つめていた。けれどリンだけは驚いた様な、興奮した様子で見守っていた。

「あれは…プロの魔法使いでもなかなか呼び出す事は出来ないとされる上級精霊!ルイ・ファリス…貴方一体…」

リンのその声はルイに届いていたのかいないのか、ピンク髪の少女を見つめながら言った。

「あぁ、そうだよ僕が君を呼んだ…どうか僕の使い魔になって欲しい」

ルイの真剣そうな顔を見てピンク髪の少女はふーん、と興味無さそうな反応をした。

「わたし、誰かに縛られるって嫌いなんだけど~…」

ぐっとルイに顔を近付けてまじまじとルイの目を見つめる。

「あなた、と~~~っても面白い感情を持ってるのね、いいわ!あなたの使い魔になってあげる!わたしはアンジェ!よろしくね!」

アンジェと名乗ったピンク髪の少女はそう言うとルイの頬にキスをする。契約成立だ。

「よろしくね?えーと…」

「ルイ、ルイ・ファリス…こちらこそよろしくアンジェ」

「ルイ…ルイね、こちらこそ!」

それを見た生徒達は興奮した様に声をあげ始める。

「すげ~!ルイのやつ上級精霊を呼び出しやがった!」

「こんな光景見れるの滅多にないんじゃ…」

「流石ルイ君!すごーい!」

そんな歓声を聞きながらリリアンナも両の拳を握り目をキラキラさせていた。

「すごい…すごいよルイ!上級精霊なんて…」

アンジェを連れて帰ってきたルイに興奮した様子でそう言うとルイは優しい笑顔をリリアンナに向けた。

「ありがとう、でもたまたまだよ、たまたま僕の魔力が高いから呼び出せただけだよ」

リリアンナの頭を撫でながらルイは謙遜する様に言った。

「………ふーん、その子が大切なんだぁ」

アンジェの呟きはリリアンナにもルイにも…誰の耳にも届く事はなかった。

「次はリリーの番だよ」

「…は、そっか!」

リリアンナは先程までの光景を思い出していたためか次が自分の番だとすっかり忘れていた。そしてリンが名前を呼ぶ。

「リリアンナ・フローテ」

「はい!」

リリアンナはリンの居る召喚陣へと足をすすめる。

リリアンナの召喚の儀式が始まった。

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