第7話冷たい言葉

ルイの父親はリリアンナを見るなり不快そうな顔をした。一方、ルイの母親はまさかこんなに早く帰ってくるとは思わなかったのか少し慌てた様子でいる。ルイはリリアンナを庇う様に前に立つ。

「…おかえり父さん、仕事は?」

「…今日は早く終わったから帰ってきたんだ、相変わらずまだそんな奴と絡んでいたのか」

そんな奴、とはリリアンナのことを言っているのだとその場にいる誰もがわかった。

「そんな奴って、小さい頃から一緒なんだから名前くらい呼んでもいいんじゃない?あ、父さんは仕事人間だから家族や友達のことなんてどうでもいいんだよね?」

ルイはそう言って嘲笑めいた笑みをみせる。その事に腹が立ったのか、ルイの父親は眉間に皺を寄せる。

「お前のその生意気な性格は誰に似たのやら…大体、そいつがここであたたかい食事をとる事も私達家族と接する事が許されているのも全て幼なじみという関係とそいつの父親が私の働く会社で上司と部下の関係があるからだ!あまり調子に乗るなよ」

そう、そうなのだ。ルイの父親が言っている事はもっともで、ルイの父親が経営している会社でリリアンナの父親は働いている。上司と部下の関係。それでいて昔馴染みという事もあり、ルイ達家族と会っても許されているのだ。リリアンナはそれをちゃんと理解していた。

「あなた、言い過ぎよ」

耐えられなくなったのかルイの母親が間に入る。それが許せなかったのかルイの父親は睨みながら言う。

「それに!お前だって簡単に平民を家に招き入れるんじゃない!そんな事だからお前はいつも舐められるのだ!」

ルイの父親はそう怒鳴って壁を叩く。ルイの母親はビクッと肩を震わせるとそれ以上何も言えなくなってしまった。

………あぁ、嫌だな。

リリアンナはそう思った。ルイの父親がこういう性格なのは知っているものの、慣れはしなかった。早くこの雰囲気を何とかしなければ…そう思ったリリアンナは口を開けようとする。

すると……

「あ、あの~ここにリリアンナが来ていませんか?」

ピリピリした空気に似つかわしくない間延びした声がリリアンナ達の耳に入ってきた。

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