第4話テスト
「魔力値、四十五…平均的ですが合格です席に戻って下さい」
リンにそう告げられた生徒は心底安心した様に胸をなで下ろし自分の席へと戻る。そうすると次の生徒が呼ばれ、席を立つ。
「うぅ~…緊張するよ~…」
リリアンナは机に突っ伏しながらそう呟く。入学式とは違う緊張感がリリアンナを襲い、胃を痛めさせる。
「ルイは緊張しないの?」
リリアンナは不安を少しでも和らげたいのか、幼なじみであるルイにそうたずねる。
「緊張は…してないかな、リリーもそこまで緊張しなくても大丈夫だよ」
ルイは前を向いたまま、リリアンナを安心させる様に言う。リリアンナの方を向いてはいないが優しい表情をしているとリリアンナには不思議とわかった。
「次…ルイ・ファリス」
「はい」
リンに呼ばれたルイは短く返事をすると席を立ち、リンのいる教壇へと向かう。
「この水晶に魔力を込めて、魔力値を計ります」
「わかりました」
リンもルイも事務的なセリフを交え、ルイは水晶に向かってゆっくりと手をかざし、目を瞑る。
すると──────
「…っ!?」
「…?」
今まで基本的に無表情をつらぬいていたリンは驚いた様な表情をする。リリアンナはそれに気付き、不思議に思う。
かく言うルイはとくに驚く様なことも無くただリンが合否を決めるのを待っていた。
「魔力値…六十七!これは…プロの魔法使いでもなかなか居ない魔力値だわ…」
リンは驚いた表情をすぐに隠すとそう呟く。ルイは無言だ。
「……失礼、ルイ・ファリス、合格です席に戻って下さい」
そう言われたルイは軽く会釈すると何も言わず席に着く。リリアンナは少し興奮した様にルイに詰め寄る。
「す、すごいねルイ!よくわからないけどプロの魔法使いにもなかなか居ない魔力値って!」
「……別に、何も凄くないよ」
ルイは何故か合格したにも関わらず嬉しそうな素振りを見せなかった。
「それでは次、リリアンナ・フローテ」
名前を呼ばれたリリアンナはすぐさま立ち上がる。
「は、はい!」
ぎこちない足取りでリンのいる教壇へ向かう。リリアンナの心臓ははち切れそうな程脈打っていた。
「この水晶に手をかざして、魔力値を計ります」
「は、はい…」
リンの相変わらず冷たい声に緊張感を覚えながらリリアンナはゆっくりと手をかざす。…大丈夫、いままでの生徒達だって合格していたんだからきっと自分も合格のはず…
「………は、」
「……え、」
リンの先程ルイの魔力値を見た時とは全然違う様子にリリアンナは少し不安を覚え、声を漏らす。
「…魔力値…三十…?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます