第3話教室

「そういえば私のクラスはどこだろう?」

何せ遅刻ギリギリで来たものだからリリアンナは自分のクラスを確認する余裕がなかったのだ。それを見越した様にルイが言う。

「そんなことだろうと思ってリリーのクラスも見たよ…僕と同じクラスだ」

そう言って笑うルイは先程までの冷たい雰囲気はなくなっていた。

「ありがとうルイ!流石幼なじみ!」

リリアンナは調子のいいことを言いながらもルイに感謝する。リリアンナとルイはいつもこんな感じだからか中等部から知っている生徒達は疑問に思う事はなかった。

「ここが新しいクラスだよ…って、うわ…」

ルイに続いてクラスに入ろうとしたらルイの不機嫌そうな声が耳に届いた。不思議に思ったリリアンナはルイの背中越しに教室を見渡す。すると先程入学式で先生代表として話していたリンを見つけた。

「皆さん自分のクラスを確認しましたか?早く教室に入って下さい」

リンはどこまでも態度を崩す事無く教壇に立っていた。

「…最悪」

ルイは心底不機嫌そうに席に着く。リリアンナはルイのその様子を見送りながら自分の席へ向かう。ちょうどルイの後ろの席だ。

「皆さん席に着きましたね?…それではテストを始めます、大丈夫ですよ簡単なテストです」

リンはそう言うと教壇に大きな水晶の様なものを置いた。

「あれは?」

リリアンナが小さく呟くとリンは説明を始める。

「この水晶は貴方達魔法使いとしての魔力を測定する道具です、三十以上が合格、五十以上なら将来は約束されたものでしょう」

リンはそれだけ言うと水晶を撫でる。赤髪を揺らしながら蜂蜜を垂らした様な瞳で生徒達を見つめる。

「この水晶を触って魔力を測定し、三十以下の人はこの学園の生徒に相応しくないとみなし即退学です」

リンのその言葉にクラス内がざわつく。

「即退学って…」

リリアンナは不安そうな声を漏らす。ルイは黙ったまま無表情で説明を聞いている。

ざわつく生徒達をしずめる様にパンパン、とリンは手を鳴らす。

「お静かに、前の席の生徒達から順番に測定していきます」

リンは生徒達を見回しゆっくり息を吐く。

「それではテストを始めます」

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