第2話入学式
「…初めまして、新入生の皆さん」
その声は凛としていて新入生達を静かにさせるには充分だった。
「皆さんに出会えたこと、とても光栄に思います」
赤髪の女性はそう言って新入生達を見回す。
「失礼、私の名前はリン・パームです以後お見知りおきを」
ぺこりと頭を下げる所作すら美しいリン・パームと呼ばれる女性は何処か冷たい雰囲気を感じる。
「私は貴方達新入生に魔法学、通常授業を受け持ちます、どうぞ仲良くして下さいね」
そう言ってにこりと笑うリンを見て新入生の男子達が少しだけ声を上げる。それ程までにリン・パームという女性は美しかった。
「すごい…素敵な人だね、ね、ルイ」
リリアンナが小さな声でそう言ってルイのローブの裾を握るとルイは興味無さげに答える。
「あんな明らかに猫被ってるの丸わかりなの、全然ときめかないよ」
「そ、そう?」
ルイの普段あまり聞かない冷たい声を聞いてリリアンナもそれ以上何も言わずにリンの話を聞く。
「この入学式が終わりましたら次はそれぞれの教室に行き簡単なテストをして頂きます」
「て、てすと…」
リリアンナは少しだけ顔を歪めた。リリアンナにとってテストというものは朝のアラームよりも憎らしい存在だ。
「テスト、と言ってもそんなに難しく考えなくて大丈夫です貴方達がこのマディス学園に相応しい生徒か見極めるだけですから」
リンはそう言うとふっと笑う。その笑みはどこか挑発めいたものを感じた。
「さて…話が長くなってしまいましたね、これにて入学式は終了です新入生達は先輩である生徒達に続き自分の名前が書かれている教室まで行って下さい、くれぐれも他の生徒達や先生方に迷惑をかけない様に」
それだけ言うとリンは小さく会釈し、そのまま去って行く。新入生達は言われた通りに先輩である生徒達の後に続く。
「はぁ…緊張したね…」
「最初から最後まであまり良い気分ではなかったね」
「……なんだか今日のルイは機嫌悪いね?」
「…そうかな」
そんな会話をしていると教室のある階に着いた。
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