ジャンク・マジック
ちまねちよ
第1話新入生
暖かな日差しの中、メルシアの街に一人の少女の声が響き渡る。
「うわぁ~~~~!!遅刻~~!?」
その少女は周りの目も気にせず全力で走り抜ける。長い金髪、翡翠の宝石を埋め込んだ様な瞳。そして何より真新しい黒いローブ…その姿を見ただけで誰しもが新入生とわかる。
「も~~!なんでこんな大事な日に遅刻しちゃうんだ~!お父さん起こしてよ~!」
金髪の少女────リリアンナはそう文句を垂れながらも走る足を止めない。
先程リリアンナは父親が起こしてくれないと言っていたが、実際は父親は何度も起こしていたがリリアンナがなかなか起きずこの時間になってしまったのが真実だ。そのことを知らないリリアンナはもうすぐマディス学園の高等部一年生へと進級する。
「はぁ…はぁ…着いた!ギリギリセー…」
「…じゃないから」
ようやくマディス学園に着いたリリアンナはそう言って伸びをしようとすると軽く頭にチョップされる。
「痛っ」
「全く…入学式当日にまで遅刻なんて…変わらないねリリーは」
そう言って苦笑する緑髪の少年はリリアンナが小さい頃から仲が良く、一緒の学園に通う所謂幼なじみである。
「う~…でもお父さんが起こさなかったんだもん!」
リリアンナがそう言うと緑髪の少年は水色の瞳をリリアンナに向けながら溜息を吐く。
「どうせおじさんに起こしてもらってもリリーが起きなかっただけでしょ…小さい頃から本当に変わらないんだから」
「も~~!ルイったら朝からお説教?今日は入学式なんだからせめてお説教は後にして!」
「わかったわかった、ほらもうすぐ入学式が始まるよ」
そう言うとルイと呼ばれた少年はリリアンナの手を引きながらマディス学園の講堂へと入っていく。そこにはたくさんの新入生達が集まっていた。その光景を見てリリアンナはますます緊張してしまう。ルイは手に持っていた小さな紙を見ながらリリアンナに告げる。
「僕達が並ぶ列はあそこだね、行こうリリー」
「あ、うん」
周りの邪魔にならない様に静かに通る。目的の列へと着くとタイミング良くこのマディス学園の先生であろう女性が入ってきた。
綺麗な赤髪に蜂蜜を垂らした様な瞳は一瞬にして新入生達の目線を奪う。
「…初めまして、新入生の皆さん」
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