一ノ噺 神の国
気付くと我は眠っていた。開眼と体を起こすという前提動作を挟むことに、我はそれを理解した。
辺りを見回すと我はどうやら真っ白な空間にいるようだ。
そうか。そうか分かったぞ! ついに我は神の国へ誘われたのだ! ついにたどり着いた!
「ハッハッハッハッ!!」
「!? な、なに急に……」
我は思わず歓喜と興奮により高笑いする。だが、そこで我は目撃する。
目の前にいる者こそが神であると。そう察した。
「おっとすまない。あなたが此処の神であられるか。我が名は
「……??? あーえっと。はい。私があなたの言う通りこの転生神界を管理する女神です。どうやらあなたは勘違いしているようなので訂正しますね。
私と私たち神はあなたのことは呼んでいません。そしてあなたは現世で死ぬことで此処に至りました。
死因は飛び降り自殺ですね」
「ほう……? それが神の冗談というものか。ハッハッハ! 理解が難しいがとても面白い」
この我が死んだ? まさかあり得ないことだ。我の身体に鳳凰と龍が宿っているのだから。あそこから飛んでからの記憶は無いが、恐らくどちらかが我の意識を奪ったに違いない。
「え……? まぁ、そういうことにしておきましょう。それであなたはこれからこちらの勝手ですが、別世界に転生してもらいます」
「なるほど。それが我への神からの命令という訳か。良いだろう。そこがどのような場所であるが知らぬが、大悪を討つ、世界を統治、民間に溶け込む。どんなことでも果たそうぞ」
「何コイツめんどくさ……あ、はい。わかりました。それとあなたには上の神から特殊能力を与えるように言われています。
もちろんどんな能力かなのかも。それについては……なるほど。
きっとあなたなら自ずとわかるかと」
「自ずと? ふむ。それは答えは自分で探せという神の試練か。良いだろう!」
「えーっとそれで向こうでの目的は……魔王の討伐ですね。
段取りを説明しますと、向こうに飛んだらあなたは勇者として歓迎されますので、失礼のないように話を進めて、事前に国から指定された仲間を途中で集め、魔王討伐に向かってください。わかりましたか?」
素晴らしい。素晴らしいぞ! この我に魔王討伐を任せるとは。凄まじい責任だ。
だがこれも一興! 魔王など我に宿る力で焼き尽くしてくれよう。
「分かった! ならば行ってくる。さらばだ!!」
そう我が言った瞬間、神は我が前から消えた。いや、我が目の前から消えたのだろう。
「……あれ。いっちゃった……。神界への行き来も自由な能力なんだ……ハハハ」
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