第7話 ローズ・ガーデン

そんな日々がどれぐらい続いた頃か、また街へとお遣いに出たセラは、また幾つかのいたずらをしながら街を駆け抜けていた。


そして何気なく首を向けた横道の奥に、色とりどりの花が咲き乱れるのを見付け、


「うわぁ」


と駆け寄った。


「薔薇だ……こんなに色んな色の薔薇が、こんなにたくさん!

それに、とても大きなお庭に、大きなお屋敷……」


高い柵越しにしばらく見とれていたが、ふと自分の指ににぶく輝く黒薔薇の指輪に目を移し、


「そうだ、お姉様にこのお庭の薔薇を持って帰ろう」


小さな体を柵の隙間すきまに滑り込ませ、薔薇園へと忍び込んだ。


身をかがめて薔薇の合間をすり抜けながら、


「黒い薔薇も素敵だけど、赤や黄色、ピンクの薔薇もとっても綺麗ね。

すごいお庭だなぁ。

一体どんな人が住んで……」


と顔を上げたその時、


「ちょっとあんた!

人んちの庭で何やってんのよ!」


鋭い少女の声がセラに突き刺さった。


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