第2話 黒死病と魔女狩りの事
「そう、魔女狩りにあったのね、かわいそうに。
流行りの病や国の腐敗を都合良く魔女のせいにして、しかもそれで女たちを好きにして、最低よね」
とにかく私の家にいらっしゃい、とヴィミルはセラを、丘の端に建つ古い物見塔へと
自分も両親と共に魔女狩りから逃れてここに住んでいるという。
薄暗い塔の中は、しかしながら居室のように整えられていて、
「つらかったわね。
もう大丈夫、私も父さんも母さんもあなたの味方よ。
この塔も大丈夫、危ない人は誰も来ないわ」
その国一帯では、
人々はこの治療法もわからぬ不気味で恐ろしい病に、いつしか魔女の仕業だとささやき合うようになり、ついには疑わしい女を捕らえては拷問し処刑する蛮行までがまかり通るようになっていた。
セラの父親も黒死病で命を落とし、運良く
「私は……隣のサラスさんに、こっそり逃してもらえたの……」
涙に声を震わせて伝えるセラを、
「それで一人で山を二つも越えてここまで来たの……幼いのに偉いわ、本当に大変だったわね。
もう大丈夫よ、あなたは今日から私の妹、家族になりましょう。
ずっと大切にするわ」
ヴィミルが固く抱き締めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます