黒薔薇の魔女

遠矢九十九(トオヤツクモ)

第1話 二人の少女

その日、その丘の上で、黒い衣服に身を包んだ幼い少女は、生い茂った草むらの中に、泥やり傷にまみれて汚れた、同じ年頃の少女が横たわっているのを見付けた。


そっと抱き起こすと、少女は苦しそうにうめきながらも目覚め、驚き身をこわばらせ逃れようとしたが、黒い少女は優しく温かく彼女を抱擁ほうようし、大丈夫、大丈夫、と随分ずいぶんの間、なだめた。


やがて腕の中で落ち着きを取り戻した彼女に、黒い少女は静かに尋ねる。


「私はヴィミル。あなたは?」


「……私は、セラ……。

でも、あの……あなたは、本当に……大丈夫……?」


ひどくおびえながらも、彼女は答え、尋ね返した。


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