第3話

カーテンからの差し込む光で目を覚ます。

うーん…今日もいい朝だなー…

さわやかな朝日を浴び背中ををぐぐっと伸ばし目覚める体制に入る。

んん…?朝日…アサヒ?

「どりゃぁぁぁ!!!」

「ウボァー!!」

コウの部屋のクローゼットから飛び出し腰を入れた右フックで彼に殴りかかる。

「え!?え!?ええ!?」

「なんで精子まみれで裸の状態の私を放置して学校行ったの!」

「え!?え!?」

「それに警察の人に保護されたときに無視して帰ったでしょ!!」

「え!?え!?えええ!?なんでクローゼットから出てきたんだよ!!」

「しかも俺が起きたタイミングを見計らって出てきたじゃねえか!いつからいるんだよ!それでなんで起きるまで泳がしてたんだよ!てか俺の服返せよ!」

「えへへ…昨日からずっとここからキミが寝てるのを見てたんだよー…服はコウ君の香りがなくなったら返してあげるねーむほほ♡」

「え…?ただずっと…一晩見てただけ…?俺が寝てるのを…?」

「幸せだったよ!ってそんなことはどうだっていいの!!よくも私を見捨てたなぁ!!」

「それは本当に申し訳ない…ちょっとな…」

「…?何か事情があったの?」

「…関わるのがめんどくさかった」

「そっかー…それなら仕方ないね、それじゃああとで線路の枕木とポジションチェンジしようね?」

「わー…最寄り駅はあの世かー…」

「ねぇねぇねぇねぇ…私のことどうでもいいの?嫌いになった?違うよね?」

「はい…大好きです…」

「だよね?なのにめんどくさいが勝つの?私とめんどくさいならめんどくさいのほうが好きなの?」

「そ、そんなことは…」

「なに勝手に立ってるの?正座でしょ?」

「は、はい…」

「で、どうして私を放って学校に行ったの?」

「…もともとは精子まみれのアサヒを綺麗にするためにコンビニでティッシュを買おうと思って」

「それで…すぐ帰ってくるけど、ここに置いたままでいいかってのを聞いて…」

「私そんなこと聞かれた記憶ないんですけど!」

「あひあひ言っててよくわかんなかったんですけど、自分のことを男だって言ってたのでだったら何とかなるかな…って」

「男だったとしても裸でザー汁まみれのままおいてていいわけないでしょ」

「ぐわー!正論だー!!」

「それに帰ってこなかったじゃん!」

「それが…コンビニのグラビアだとか雑誌だとかを読んでたらつい時間を忘れて…」

「グラビア?…そっか…そういうことか…」

「え…ゾクッ…」

「そうだよね…私よりもメスの…胸のほうが魅力的だもんね!」

「そういえば私に性別を確認したって…」

「私コウ君に男だって言ってなかったっけ?私のこと全部受け入れてくれるんじゃなかったの?ねぇねぇねぇ?」

「ひっ…あ、あまりにもかわいかったもので…どっちだったっけなーって…」

「コウ君は…やっぱり女の子が好きなんだね…」

あれ…?なんだか様子がおかしいぞ…

「いつも私にかわいいだとか…私しか見えないとか言ってるのは…うそだったんだよね!?」


やっぱり涙が滲んだ目が一番かわいい…でも…苦しまなくちゃ見れないなら…アサヒが苦しむなら…見なくていい…

「だから私が大変な目にあっても気にしないで学校に行けるんだ…そうでしょ!!」

「だったら私じゃなくて本当の女の人と―」


アサヒが言い終わる前に彼が先ほどからのアサヒの泣き顔でパンパンにふくらました陰部を取り返しのつかなくなることを言いそうな口に突っ込む。

「ん゛ん゛ん゛ん゛!!!!ぐぇ…!」

「うるせぇ…オメーの泣きそうな顔みてたらこんなんになったじゃねえか!責任取って俺の精子胃の中にいれろオ!」

「んぐ…ぐぼぉ…」

「オメーより女の胸が魅力的ィ?なーに行ってやがンだ!」

「アサヒの顔を見ただけでこんなんになってんだぞ!」

「あーわかった!俺はアサヒ!オメーのこと全部受け入れてやる!!」

「だからオメーも俺のことを受け入れろォ!!」

「俺は男は恋愛対象じゃねえ!」

「だがアサヒ!オメーは俺の女だ!!」

「オメーは男じゃねェ!!女として…俺の女として…俺の子を胃袋で孕めオラァー!!」

「んごぉ…!!ごくごく…」

「ごぷ、げぼっ…!!」


「さっき俺に言いかけたことは忘れてやる…オメーは俺が愛したかけがえない『女』だろ?」

「けほ…けほ…は、はい♡」

「わかったな?…だったら…朝飯の準備して、一緒に食べよう」

「うん!」

ざくざくと野菜を慣れた手つきで包丁を鳴らす。

「さすがアサヒ、料理上手だな」

「そういうコウ君こそ、隣で手伝ってもらってるけどずいぶん慣れてるね」

「まあこういう休日は親がいないから自分で作ってるからな」

「料理なんて女の仕事だってのに…」

「うわーびっくりした戦前から来た人いる?結構上位の男尊女卑思考だよぅ」

「スンスン…はぁ…アサヒ…いいにおいする」

「キミのザー汁まみれだったからその匂いなんじゃないの?」

「…前から思ってたけど精子の言い方気持ち悪すぎるだろ…」

「そっちの方がムラムラするでしょ?」

「このオスガキ…」

20cmほど上から見下ろすとアサヒの身体のふくらみがよくわかる

「さっきからいやらしい体で俺のこと誘いやがって…」

「ひぃん!そ、そんないきなり胸揉まないでよぉ…」

「『おっぱい』だろ?あ~まじで女の子だ…おっぱいむにむにじゃねえかー」

「もう…やめてよ…キッチンで―」

「うるせぇ♡さっきからちらちら俺に目合わせて来たり…メスのフェロモンぷんぷんにまき散らしやがってぇ♡」

「そ、そんな…言いがかりもいいとこだよ…」

「あー…ケツもやわらけぇ…刺身にして食べちゃいたい♡」

「も、もう料理中にそんなことしてたら…」

ザクッ!!「包丁落ちゃうよ、危ないよぉ…」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!」

「足刺さったあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

「おちおちおちおちおちおちおちついて!!!ほら!よくみて!刺さってないから!指の間に刺さってるだけだから!!!」

「きゅうきゅうきゅうきゅうきゅうきゅうきゅうきゅうきゅうしゃよんでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

「ちゃんと見て!足見て!刺さってない!見て!!」

「見れない見れない見れない見れない!!!」

「大丈夫だから!大丈夫だから!!大丈夫だから!!!」


今日の教訓

包丁を持ってる人には触ってはいけない。


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