第25話 無双するグレア&後輩の気持ち
先制攻撃は、マーリンによる魔力攻撃だ。
そこに、ロッキー率いる分身たちが、怪物の脚を狙って突撃する。1体1体は弱く簡単に崩されてしまう土人形だが、砂の
「ごおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおお」
雄たけびが周囲に散乱する。巨体は脚に負ったダメージによって、崩れ落ちるように傾いた。そして、俺の射程範囲内に入り込む。
スーラの強力な毒を染み込ませた弓を、青き怪物の
「ごおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおお。ごおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおお」
片目を奪われたことで、
怒りに満ちて、持っていた
しかし、すぐにスーラがサポートに入る。
自分の身体を、マーリンの前に移動させて、身体ごと盾となる。
強力な酸性の体液を持ったグリーンスライムの身体に触れた瞬間、木でできていた
攻撃が無効化されたことで、すでに崩れていた怪物のバランスは完全に崩れた。地面に向かって、頭から倒れていく。その瞬間を、熟練の冒険者であるボールスが見逃すわけがなかった。
「脚が動かせない上に、片方の武器と視界を失えば、もうあの巨体も怖くない」
首を失った騎士は、いつの間にか怪物の死角に移動していた。これで完全に敵は反応が遅れて対処ができなくなっている。
そして、最強の宝刀から、強力な斬撃が放たれた。空気すらも
巨大な怪物の首が、
俺たちはさも当然のように、魔物の遺体を無視して、階段へと向かう。
※
―王都(ナタリー視点)―
夢を見た。その夢の中で、私たち3人はずっと仲良しで、定期的に出かけたり、お茶をしたりしていた。
この夢から覚めたくない。ずっと3人一緒が良かった。自分の恋を、永遠に心の奥底にしまっても構わない。だって、センパイとソフィーさんと一緒に過ごすあのかけがえのない一瞬が、私にとっては最高の宝物だったんだから。
グレア先輩とソフィーさんは、
父を政治に殺された私にとって、唯一安心できる居場所だったはずなのに。
どうして、大事な人たちはみんなどこかに行ってしまうんだろう……絶対に手放したくなかった場所を、私は失ってしまった。
「夢だよね」
目が覚めた時、私は短くつぶやく。この現実が夢だったらよかったのに。
決別したはずの甘い世界を夢見てしまうほど、今日の出来事は私の心に
私は、ひとりの人間の命を奪ったんだ。その事実の重みは、心の傷となってうずく。
どんなに最低な男だったとしても、その事実を背負って、私は生きていく。
その覚悟を決めている。
「会いたい」
会って、いつものように彼に思いっきり甘えたい。ちょっとからかって、ムクれる彼の顔をもう一度見たい。今まで言えなかったことをきちんと伝えたい。私をずっと支えてくれた彼に、今度は私が支える番なんだから……
彼の立場になって考えれば、今回の事件がどれだけ絶望をもたらしたのか、痛いほどわかる。婚約者に裏切られて、信じていた国に裏切られて、ひとりでずっと孤独と戦っているはず。そんな時に、そばにいてあげることすらできなかった自分の無力さが悔しい。
そして、彼が行方不明になってからもう1か月以上が経過している。その残酷な事実が、私の頭の中に絶望を作り出していた。必死に否定すればするほど、その絶望も深くなっていく。
この運命を作り出した神様を呪いながら、目を閉じた。この1か月で何度目かわからないほどの涙が、枕をぬらしていく。
「大丈夫、センパイは絶対に生きている。私を残して死ぬわけがない。だから、どんなことをしてでも、必ず助けるっ」
―――――
ステータス
スーラ(グリーンスライムLv5)
あまりの強さによって、群れから追い出されて生きてきた孤独なスライム。
友達も兄弟も失っているため、グレアのことを種族の超えた家族のように慕っている。実際、スーラと会話できる存在は、数十年単位のレベルでいなかった。本来、群れで生息するスライムにとっては、その孤独は地獄のような苦しみでもあった。
(能力)左:現在/右:ポテンシャル
政治:10/10
武力:85/100
統率:20/30
魔力:1/1
知略:20/30
魅力:60
義理:90
(適正)
近接戦:S
騎:E
弓:E
魔:E
内政:E
外交:E
謀略:E
(特殊スキル)
・酸の身体
・物理攻撃無効
・???
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