31.密会※ミコト視点

 隊長室で襲撃時の報告書や隊員達の日報に目を通す。


 (ネコタくんは早速、隊に馴染んだか。流石だね)


 隊員達からは、新隊員のネコタに付いて良い印象の報告がたくさん上げられていた。


 今後の討鬼隊のスケジュール表を見て驚いた。


 (4から6番隊も鬼道の対応に参加!討鬼府の結界はどうする?)


 陰陽庁の協力が期待出来るとはいえ、4つの結界石を使った術式は特殊で、討鬼府の全ての結界の要ともいえる。その維持の為には隊長達が必要なのである。


 「それには、陰陽庁が対応するらしい」


 後ろから声が発せられる。この部屋に居たのは僕1人だけ。扉や窓が開いた様子はない。


 溜息をつきながら後ろを振り向く。


 「カゲさん。驚かさないでください」


 そこには12番隊隊長の圓影が立っていた。


 「前回の鬼の襲撃。陰陽庁側は被害が無かったと言っていたが、こちらよりも酷かった様だ。聖獣が奪われた」


 カゲさんは僕の苦情に聞く耳を持たないようだ。

 そんなことよりもさらっと衝撃的な事を口にしていた。


 「聖獣が……、奪われた?」


 結界石よりも、大切な存在。聖獣こそが結界の要だ。だからこそ、聖獣の刀を持つ4から7番の隊長は討鬼府から離れることが出来なかった。


 「奪われた聖獣は結界を張っていた存在ではなかったようだが。陰陽庁には我々には存在が知らされていない聖獣が、多数存在しているようだ」


 それは、初耳だ。だがよく考えれば陰陽庁から討鬼府が独立した際に聖獣を分け与えられている。同じ種類の聖獣が複数いるのは当たり前なのかもしれない。


 「つまり、陰陽庁が隠していた聖獣をこちらに差出し、結界を代わりに張ってくれると?なぜそこまでの対応を……」


 「君に本当に伝えたいのはもう1つの情報だ。隠された聖獣の住居には優れた陰陽士が数人居たらしいのだが、ほんの数瞬で倒されたらしい。音が聞こえて慌てて向かった者達が着いた時にはなんとか息のある者が1人だけ。そして、その者が最後に伝えた言葉が、アマノジャク……だったという」


 こちらの言葉を遮り、矢継ぎ早に話す。元々の声が小さいので聞き逃すところだった。


 「アマノジャク、天邪鬼か」


 また1つ、何かが繋がった気がした。

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妖刀戦鬼〜オーガ・リベンジ・ストーリー〜 YA-かん @yakan9696

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