30.戦友
「キミが原川クン?」
「ハジメマシテ。ボクは猫田木綿。ヨロシクネ」
こちらが肯定する前にスラスラと挨拶をする。猫田と名乗った男は人懐っこく身の上話をし始めた。
「この度、鬼討士になりました!原川クンの後輩になります。ネコタと呼んでください」
「こら!ネコタ君、勝手に動かないの」
ヤエさんが慌てて走ってきた。
「ゴメンナサイ。鬼討士になってから活躍している原川クンに会いたくて我慢できませんでした」
ネコタは舌を出して謝っている。
「自己紹介はしたみたいだけど。改めて説明するわ。今回、うちの隊に配属された猫田木綿。今、鬼討隊は人員不足だから実力が満たない者も特例で配属されたの」
「未熟者ですが、ヨロシクデス!」
鬼討士になんらかの条件が満たない者、問題を起こしてはずれていた者、歳で抜けた者。緊急事態ゆえ、戦力になると判断された者達は臨時招集されたらしい。
鬼道が開き、戦場に向かう。
「《憑依》猫又!」
ネコタは素早い動きで鬼を次々と狩る。俺も負けていられない。センを使いネコタに並びながら鬼と戦う。お互い動物系の妖刀の為か、動きやすい。
「なかなかいいコンビね」
ヒメさんから褒められた。
ネコタは初の戦場とは思えない活躍をした。
「さっすが原川クンだね。負けじと頑張ったんだけどかなわなかった」
「ヒカリでいいよ。ネコタ、お疲れ様」
頼もしい仲間が増え、喜んだ。
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