29.暗躍※ヤシャ視点
「皆、よくやってくれた。王も喜ばれよう」
鬼討府の襲撃から生還した少数の鬼達に向かって私は言った。
「ケッ。もう少し戦わせてくれてもよかっただろうに」
ラセツは不機嫌だ。だが、ヤツに付き合って結界石を奪えなかった場合、計画の全てが瓦解する。
「勝手に残って死んでいればよかったのに」
「ラセツは強敵を相手に見事役目を果たした。隙を作れなかった我々とは違ってな」
ケイキがラセツを貶し、それを庇うガキ。いつもの光景だ。ケイキとガキも他の四聖塔を攻めていたが苦戦していた。
「さて、これからだが。我々は多くの戦力を失った。だがこれからここを気付かれないよう、人間共の注意を逸らさなくてはならない」
我々は地上にいた。奪った結界石の力で拠点を創り出したのだ。
「《刹塵衆》には順番に地上を荒らしてもらう」
《刹塵衆》。鬼王により選ばれた鬼達。人間たちを倣って番号が振られた精鋭である。私が壱番、ラセツが弐番、ケイキが参番、ガキが肆番となっている。今のところ拾参番までいる。
「人間など地上にある塵芥にすぎん、我々できちんと掃除しよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます