24.強襲※マキ視点
鬼の強襲に6番隊は動じなかった。すぐさま担当箇所の配置につく。6番隊は鬼討隊全体で最も守勢に優れている。俺も北塔の最上階に向かい陰陽師に守護結界を張るよう指示を出す。
「万亀隊長。強度は如何いたしましょう?」
「最大だ。どんな状況にも対応出来るようにしておけ」
陰陽師は結界石に力を込める。鬼討府の四方にある塔、その最上階にある結界石は守りの要だ。
外の様子が気になる。鬼の数が多い。更に先日隊長が負傷している。迎撃に向かった隊は大丈夫だろうか。
四聖塔を守る隊長は特別な妖刀を所持する為、任務は塔の守備のみである。実戦の経験が無い。力には自信がある。6番という番号に恥じない力は有るはずだ。分厚い胸の中には戦場への憧れがあった。
「隊長!塔に鬼が!!」
部下の声に驚く。まだ門を破られた連絡は無い。
「状況は?」
「強力な鬼が多数。苦戦しているようです」
「最悪下階は放棄してもかまわん。《具現》霊亀!隊士を守ってくれ」
鬼の特殊能力で結界を越えてきたのか。ここを襲うということは狙いはやはり結界石か。
ドカッ!
いきなり壁が破壊される。粉塵の中から大きな鬼が現われた。
「いちいち下から登ってられねえよなぁ。俺はラセツ、石はいただくぜ!」
ラセツ!羽山を斬った4角の鬼か。隊長を倒した鬼の相手は隊士達には危険すぎる。皆を下がらせた。
「6番隊隊長、万亀玄弥。羽山の仇討たせてもらう」
「《憑依》玄武!」
四聖の力が身体に漲る。左手に亀の甲羅状の盾が現われ、そこから管が延び妖刀に絡み付く。
「この前のヤツとは違うみたいだなあ!」
ラセツの大剣が迫るが盾で防ぎ反撃で斬りつけた。固い。思ったよりも傷は浅いが出血は激しい。数度の斬り合いでラセツは血塗れになった。
「その程度か。どうした、立派な角の割に能力はないのか」
挑発し隙を作らせ次で決めるつもりだったが、相手は意外な反応を返してきた。
「ハッハッハ。強いな。だがよ、気付かないのか。お前の剣、もう大して俺に傷付けられてないぜ」
確かに剣の感触が変わっていた。出血の多さに傷の大きさも見辛くなっている。
「俺の能力が知りたいんだったな。傷付けば傷付くほど固くなる身体だ!それが1つ。もう1つは俺のあばら骨から作ったこの剣、【大喰らい】だ。血を吸えば吸うほど強くなる。吸ってるのが俺の血ってのが気に食わないが次は防げるかな!」
確かに大きくなり禍々しさが増している。だが玄武の盾を壊せるとは思えない。固くなっている身体を貫けるよう右手に力を込める。その時、身体に黒い糸が纏わりつき締め上げた。
「なッ!!」
「ちっ。時間を掛け過ぎたか。つまらない幕切れだが手は抜かないぜ」
身動きの出来ない俺はただラセツの大剣に斬り裂かれるしかなかった。
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