22.観察※ヤシャ視点

 「おいおい。クチの野郎やられちまったぞ」


 ラセツが目の前に映る映像を見て嘆く。


 「人側の力が観れた。十分役に立っただろう。お前と違って」


 横からケイキが口を出す。


 「しょうがねーだろ。まさかあんなに脆いとは思わなかったんだからよう」


 「勇み足で出て行って相手の危機感を煽ることになるとは。足を引っ張るならクチの様に死んでくれ」


 「口が過ぎる。王の元に集った仲間なのだぞ」


 ガキが牙を剝きながら唸る。いつもこの調子だ。仲が良くて大変結構。


 「そこまで。ボクの髪を仕込んで地上の様子も大分観察出来た。鬼道もそろそろ通れるだろう。皆も準備しておいて」


 ボクの長い髪はこの部屋中に広がり壁には多くの映像が流れている。この部屋に居るのは4鬼。鬼とは思えないほど細い身体で華奢なボク、ヤシャ。大柄なラセツ。鎧を着たケイキ。狼姿のガキ。皆、頭には4本の角が生えている。鬼王シュテン様によって選ばれた幹部である。


 「やっと思う存分暴れられる訳だ。楽しみだぜ」


 「勝手な行動はとるなよ」


 「各々の役割を果たし、アレをシュテン様の元へ」


 先ずは一戦。人間の本拠地を攻める。

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