16.実戦

 学生と隊士としての勉強。妖刀の訓練。菓子谷さんを代表とする隊長格から逃げる慌ただしい日々がしばらく続いた。


 「そろそろ実戦を経験しよう」


 ミコト隊長がの言葉。ついにか。唾をゴクリと飲み込む。


 「無理はさせない。全力でサポートするから僕達を信じて行動してね。戦場で絶対はないから油断はしないように」


 次、担当する地区に鬼道が出来たら参加することが決定した。ドキドキ。ソワソワ。


 「鬼はいつくるかわからないから落ち着いて。今からそんなことじゃ戦闘前に疲れちゃうわよ」


 優しくたしなめられるが、落ち着かない。最初の鬼との遭遇がトラウマになっているのだろうか。


 「うーん。気晴らしになにかしようかしら」


 ヒメさんが考えこむと、不意に隊舎に警報音がなった。鬼道が開いた合図だ。


 「いくわよ」


 頷いて装備を整え、隊長の元に。最初に出会った11番隊のメンバーに俺が加わったのが今回の迎撃班。気合を入れて隊舎を出る。不思議な力で現場に直行。


 すでに鬼がいる。前にみたより大きい姿。角は1本。


 『おい。替われよ』


 ジャックは言うが、替わるつもりはない。今までの特訓の成果を確かめたい。鬼が吠えこちらを睨むと体が縮こまるが、妖刀を強く握るとセンがワンと応援してくれる感じが伝わる。頑張ろう!


 「私が足止めするから。ヒカリ君は角を断って!」


 ヒメさんの出した糸が鬼を縛り上げる。動けないようだ。勇気を出して切りかかる。角が斬れた。鬼が消える。


 『おい!角を喰え。消えちまうぞ!』


 え。アレを食べる?なんで。嫌だ。固そうだし美味しくないだろう。ジャックが頭の中でワーワー言っている間に角も消えた。


 今回出てきた鬼は10体。俺は3体斬り倒しあっけなく戦いは終わった。


 「初めてにしては動けていたわよ」


 ヒメさんに褒められた。嬉しい。1体の鬼には《憑依》を使ったが、《開放》はしなかった。


 無事討伐を終えて意気揚々と帰還したら衝撃の内容を伝えられる。



 「24番隊隊長負傷!隊士にも怪我人多数!現在状況確認中です!!」


 ヤエさんが慌てて言った。ミコト隊長から初めて笑顔が消えた。

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