3.討鬼士

「ちょっとまった!」


 オレ様は慌てて言ったね。いや言うだろ、こんなの。なんで刀から糸が出てるんだ?しかもオレ様の体を縛り付けている。動けない。このままではミノムシかそれとも繭にでもされるのか。


 「答えなさい!あなたは何?さっきはなにをしていたの」


 刀から糸出し女がわめいている。距離はだいたい3丈ってところか。左右の男達も油断なく構えている。なかなか鍛えられてるようだ。


 「さっきも言っただろ。あーまーのーじゃーく!俺様の名前は一度聞いたら忘れるな」


 せっかく答えてやっているのに次から次へと質問ばかり。しかもしっかりと糸を出している。もういい。わかった。今の討鬼士は符が無くても術を使う。いいだろう。まだ慣らしがすんでないが力比べといこうじゃないか。


 「オラ-ーー!!!」


 体に力を込める。額の右側に痛み。気にせずに更に力を込めると小さな角が生えた。指先に力を込め爪を伸ばす。あとはこの糸を切り裂く。バキィ!切り裂かれた糸が落ちる。…糸を切った音じゃない。ナニコレ。


 「お蚕さまの糸が!?」


 あちらも驚いている。最初の力比べはこちらの勝ち。まずは1勝。ズキ。頭が痛む。無理をしすぎたか。


 「はいそこまで」


 いつの間にか謎糸女とオレ様の間に男が立っていた。この状況でニコニコ笑う不気味な男。驚き距離を取ろうとするが足が動かない。足元を見るといつの間にか蛇が絡み付き足に噛みついている。体に力が入らない。これは、毒か!


 「痺れ毒だから安心して」


 立っていることが出来ない。前に倒れこみ頭を打つ。あー、頭イテ―。意識が薄れていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る